独立記念日
7月4日はアメリカの独立記念日です。アメリカでは独立記念日Independence Dayと呼ぶことよりもJuly Fourth あるいはFourth of Julyと呼ぶことの方が多いです。わざわざ日付で呼ぶのは、それくらい重要な日という意味です。お祝いなので“Happy Birthday, America”と言う人が多く、国家は歌いにくいのでBeautiful Americaという第二国歌ともいわれる歌いやすい歌が多く歌われます。また花火を上げて、飲んで騒いでという祭り気分なのもアメリカ的です。アメリカではクリスマス、感謝祭と並ぶ行事で前後を含めた1週間休みを取る人も多いです。この日は日本の米軍基地も解放され、米国フードも振る舞われるので日頃警戒の厳しい基地内を見学できる良い機会です。
アメリカ独立宣言はイギリスによって統治されていた北米13植民地が独立したことを宣言する文書です。1776年7月4日大陸会議によってフィラデルフィアで採択されたことを記念して独立記念日としています。独立宣言は、「基本的人権と革命権に関する前文」、「国王の暴政と本国(=イギリス)議会・本国人への苦情」に関する28ヶ条の本文、そして「独立を宣言する結語」の3部から成っています。なぜこの独立宣言が重要かというと基本的人権・国民主権という思想が盛り込まれていることにあります。「全ての人間は平等に造られている」とし、不可侵・不可譲の自然権として「生命、自由、幸福の追求」の権利を掲げた前文は、アメリカ独立革命の理論的根拠を要約していて、日本国憲法にも盛り込まれています。アメリカの独立宣言の思想は名誉革命を理論的に正当化したジョン・ロックの自然法理論の流れを汲んでいます。
福澤諭吉はその著書『西洋事情』で「千七百七十六年第七月四日亜米利加十三州独立ノ檄文」としてアメリカ独立宣言の全文を和訳して紹介しました。そして冒頭はのちの『学問のすゝめ』初編冒頭に引用され、人々に広く知られるところとなりました。
アメリカの独立宣言は明治時代の民権運動や太平洋戦争後の日本の民主主義にも大きな影響を与えてきたといえます。日本だけでなく、ベルギー、ニュージーランドの独立宣言にも影響しているそうです。
日本を除くほぼ世界中の国に独立宣言がありますが、どうして日本にはないのでしょうか。「独立したという歴史がない」というのが回答ですが、逆にいえば植民地時代がなかったということでもあります。一時期米軍の占領下にあり、主権がなかった時期はあったのですが、武力で奪い返したわけでなく、独立という感じがしないからでもあります。建国記念日というのはありますが、独立記念日ではないです。反対に日本支配から逃れた国は自軍の武力による回復でなくても独立記念日としています。日本人に支配・被支配という概念がないわけではなく、古来、内戦は何度もあり政権交代も起きていますが、外国支配の歴史はほとんどないため、独立という概念が薄いのでしょう。この独立independentという語の意味も実感がないみたいで、反義語のdependentが依存ですが、依存することの違和感もあまりないようです。これは親子関係にも影響があり、日本の親子関係は相互依存的なことが外国人からよく指摘されます。それは文化なので他人がとやかくいうことではないのですが、国家的な依存関係は重要な意味をもちます。日本の外交はとかく依存関係重視に見えますが、他国には通用しないことを外交官はこの機会にもっと学習すべきではないでしょうか。
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