弱形と縮約
どの言語にも書き言葉と話し言葉には違いがあります。書き言葉は文字の言語で、話し言葉は日常や対話での言語です。書き言葉は文字で固定化されているために比較的安定しており変化が少ないのに対し、話し言葉は常に変化しています。よく知られているのが若者言葉や流行語です。
あまり知られていませんが、話し言葉には書き言葉にない文法があります。とくに音が変化するので「音法」と呼ぶ人もいます。
英語では学校で習う「正しい」英語ではI am going to school.と書くところを英会話ではI’m gonna school.と言うのが普通です。このam→mとかgoing to→gonnaというのを弱形weak formといい、文字で書くamやgoing tのことを強形strong formといいます。学校の英語の時間はもっぱら英文解釈や英作文など書き言葉の学習が中心ですから、強形だけを習い、しかもそれを日本語で発音しています。それが日本英語の実態です。
最近では英会話はヒアリングの時間があって、ネイティブの先生や録音、最近では動画を使って、「生の」英語を耳から聞いて学習する機会が増えました。この生の英語、耳から聞く英語が話し言葉です。中には親切に文字で英語が書いてあるものもありますが、その文字の英語と実際に聞こえる音に違いがあることに気づく敏感な人も多いです。反対に文字で刷り込まれていて、日本英語式でないと聞き取れない、話せない人もいます。これが強形と弱形の違いです。ところが弱形について、きちんと教えている教室は非常に少ないです。そもそも英語の先生がわかっていません。それはネイティブの先生でも同じです。そのため、どうしても経験的に覚えるしかない、という結論になってしまいがちです。そのため「英語のシャワーを浴びる」とか「ヒアリングマラソン」とか長時間の訓練が有効とされています。留学すれば当然、長い時間、英語に晒されるので「自然に」英語がわかるようになります。これがナチュラル・アプローチと呼ばれる学習法ですが、いくらカタカナで新しそうに見せても、要するに昔からある、ある意味「伝統的な」語学で、学習者まかせの技術といえます。そこに少しでも話しことばのしくみを学習すれば「効率のよい」学習ができます。その基本理論が弱形と縮約というパターンの学習です。まずは弱形の概念を理解してください。
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