寡占と独占


寡占

寡占を英語ではoligopolyといいます。経済用語なので、あまりなじみがないと思われます。独占はmonopolyといいます。独占は「ひとりじめ」なのでわかりやすい概念ですが、寡占は少数の大企業が産業を支配しながら互いに競争し合う状態をいいます。完全競争と独占の中間的形態です。それらの企業は市場価格を左右する力をもち,互いに他社の反応を考慮して行動するという特徴があります。現在のIT市場は1社の独占状態にはなくアメリカの数社による寡占状態で、アメリカ国内の別企業や日本や欧州の企業とは競争状態にありません。

市場が独占状態になると、価格を一方的に決めるなど消費者にとって不都合な状態になるため、どの国でも独占禁止法により取り締まりが行われています。独占状態でなくても、複数の企業が市場を独占する目的で価格などを取り決めることをカルテルといい、日本では同じく禁止されています。よく談合というのがニュースに出てきますが、談合というのは直接の意味は話し合うことですが、入札のような場合に、互いの利益確保のため、仲間の企業のどこかが落札できるように入札価格を予め相談することを入札談合といい、入札という制度への妨害なので犯罪とされています。政府や自治体の事業は入札が原則となっており、予め最低価格が決められていて、それに最も近い入札価格を入札した企業が落札する仕組みです。どこの企業も必死なので、入札談合があったり、役人に賄賂を贈って最低価格を知ったり、という不正が後を絶たないので、しばしばニュースになります。

寡占は経済用語ですが、経済だけでなく、学問の世界や技術においても、寡占ときには独占の状態になることがあります。定説となった理論や革新的理論が発表されると多くの人がそれに従うようになるため、発表側に独占の意図がなくても、結果的に他の研究者の参加が不利になり、自由な研究が阻害されることがあります。研究には資金が必要なため、独占的な集団が研究資金を独占することになります。研究こと自由競争であるべきですし、政府系の研究費も競争的資金と謳っていますが、実際は自由競争にはなっていません。入札のような最低価格があるわけではありませんが、近年は研究成果を短期に求める傾向が強くなり、結果、実績のある機関に集中します。

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