カタカナ語業界



日本英語は必要に応じて作成されて普及したものもありますが、中にはカタカナにすることで英語のフリをしてイメージアップを図る商業目的の語も多くあります。その目的は虚飾でしかないのですが、定着してしまえば陳腐になってしまうので、次々に新しい語を作り出していくしかなくなります。たとえば今ではマンションといえば、高層共同住宅のことですが、英語のmansionは邸宅とか屋敷という意味なので、そのイメージを利用しようとした結果、あえて誤用の借用をした日本英語です。今では高級イメージもうすれてきたので、ビラとかシャトーなどの英語以外の言語を利用するようになっています。メゾンというのも時々見かけますが、言語のフランス語のmaisonは普通の家なので、ギャップがあるのかないのかはっきりしない用法です。最近ではカタカナでは不足なのか、わざわざアルファベットで書くなど、余計手が込んでいます。こうした業界の思惑はその通りにはならず、顧客の方は名前より価格や面積、立地などの中身に関心があるので、こうした虚飾に拘っているのは業界関係者だけかもしれません。顧客の方はむしろあまり虚飾が強いと却って警戒心を抱くようになります。カタカナ語の濫用の多い業界は不動産業界が圧倒的に多いのですが、自動車業界にもその傾向が見られ、両者の共通点は高価な商品であることです。外来語とくに欧米の言語の借用に偏っているのは、未だ舶来主義に陥っているといえます。不動産は輸出できませんし、外国語使用の必要はありません。自動車はすでに国際商品として競争力があり、昔のように対米輸出に依存しているわけでもないので、今では逆に日本語のロゴや名前がカッコいいとされているので、中国車のように漢字の名前の方が海外でのウケはいいように思えます。実際、日本車のクラウン、カローラなどはアメリカ人のセンスからするとクルマの名前としてあまりしっくりこない、という意見もあります。ファッション業界もカタカナ語が多く、とくにフランス語からの借用が多いようです。日本人の有名デザイナーも多くなってきて、ジャポニスムともいえる日本ブームも強い中、いつまでもフランスコンプレックスになっているのも時代遅れかもしれません。とくに今回のオリンピックでフランス文化の衰退と限界を見た人は多いと思います。そろそろ、マンガ業界や和食業界のように日本語が外国で使用される時代なので、それこそ日本語をグローバル化して商品化することを考えるべき時期でしょう。もう1つカタカナ語を濫用するのが行政です。この業界はあえてカタカナ語を使うことで何かを隠そうとする意図があることが多いのです。最近よく出てくるアセスメントは評価・査定・分析のことですが、実は業界ごとに意味が異なります。たとえばヒューマン・アセスメント(Human Assessment)は、スパイ選抜のために生まれたプログラムのことですが、日本では1970年代に紹介され、人事考課を補完する人事システムとして選抜型と開発型の他にリストラ人材の選定に使用されることもありますが、環境アセスとはかなり意義が異なります。

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