通貨問題
海外旅行でいつも気になるのが、現地の物価です。現地では現地の通貨で表示されているのですが、どうしても円換算して、買うかどうかを判断します。相当長く住めば、現地通貨のままでも判断できるようになるのですが、旅行者はどうしても円換算しないと判断できません。言い換えると、日本人は円でないと価格の判断ができない、ということで、現地では「日本に比べて高い」とか「日本ならこれくらいの値段」という判断基準が必要ということです。この「換算」というのは為替のことで、普段、ドルと円の交換レートとしてニュースなどでもよく見ます。もしドルが上がって円が下がる、つまり円安になると、ドル円レートは高くなります。数字だけ見ると、間違えそうですが、数字が上がるとドルが高くなる、ということで、円が安くなる、と同じことです。この円が高いとか安いという感覚は、実際に為替の売買をしている人以外には実感がわきません。そして理論として、円が安い時は輸出に有利で、円が高い時は輸入に有利ということは習うのですが、結果として、円安で貿易での儲けが増えるといわれても実感がなく、むしろ円高で輸入物価が安くなり、日常物価が安くなる方が実感がわきます。つまりそれだけ日本の物価は輸入に左右されているということで、日常的に輸入が増えているということになります。とくに原油、小麦といった物価に直結する商品の輸入が多く、円安がすぐに物価に反映するようになってきています。このように物価は国によってかなり差があり、しかも商品の内容によって差があります。そこで世界的に同じ商品で物価を比べようという考えがでてきます。それがマック平価というもので、ビッグマックの値段でその国の物価を比べようというものです。実際にマック平価を比べてみると、牛肉や小麦、野菜の値段が国によりマチマチなので、実はあまりあてになりません。他にもホテル代、タクシー代、公共交通機関の費用、コーヒー代などいろいろ比較するとおもしろいことが分かってきます。原材料は貿易の対象ですが、人件費や土地代は貿易できません。物価は土地代や人件費によっても大きく変わります。為替レートは為替市場によって決まるのですが、基本的にはそれぞれの国の経済事情を基本として、金融市場と連動しており、その国の金融政策の影響を受けます。近年、それが顕著になってきたのが中央銀行の金利の影響です。庶民にとって、日本銀行の利上げがどうして物価にまで影響してくるのか、その仕組みはなかなか理解できないだけでなく、近年は不景気やインフレなのに、どうして利上げするのか、不思議でなりません。インフレだと利上げする、という原理は経済学で習ったような気がするのですが、不景気なら利下げして政府は財政投融資によって経済をよくする、という原理も習ったので、矛盾する現象が起きている現在、どうしたらよいのか政府もわからないのかもしれません。外国に行くと通貨が安い国は確かに経済が弱く、物価も安いということがわかります。しかし国によっては超インフレで経済が破綻している国もあります。日本は今後どうなるのでしょうか。
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