癸巳(みずのとみ)の縁日
1月24日は癸巳の日です。癸巳(干支の組み合わせの30番目)から戊申(45番目)までの16日間は天一神が天上に帰るため、この期間は天一神の祟りはなくなるとされています。この期間を天一天上(てんいちてんじょう)といい、選日の一つとして暦に記載されています。十二天将の主将「天一神」という神様は、いつも天と地を往復、八方の方角を運行しており、もし悪い方角があればそれをふさいで守ってくれる方角の神様です。天一天上の期間は天一神の祟りはなく、どこへ出かけるにも吉とされ、縁起をかつぐ相場師はこの日を相場が上騰する諺として用いたそうです。コンピュータ投資が主流の現在では、そんな相場師はいないでしょうが、運を気にした昔はそういう人も多かったでしょう。今でも競輪、競馬、宝くじなどのファンはそうかもしれません。天一天上の期間は、その代わりに日遊神が地上に降りて家の中に留まるため、この期間は家の中を清潔にしなければ日遊神の祟りがあるとされていわれています。その年の最初の天一天上の1日目を「天一太郎」といい、上吉日とされています。この日に雨が降るとその後の天候が良くなくなるとされ、この日の天候によってその年の豊作と凶作を占ったそうです。天一神は方角神の一つで、中神(なかがみ)、天一(てんいち)、天乙(てんおつ)、貴人(きじん)ともいうそうです。天一神は天と地との間を往復し、四方を規則的に巡るとされ、天一神のいる方角を犯すと祟りがあるとされています。天一神の出自については帝釈天の大臣であるという説や、北極星の精であるという説、荒神であるという説、天女であるという説など色々あり、はっきりはしていません。天一神の別名「中神」は、天一神が十二天将の中央に立つからという説や、一つの方角に長く留まるため「長神」の意味であるという説があるそうです。天一神は44日間、天上から降りて下界で四方を巡ります。これを天一神遊行(てんいちじんゆぎょう)といいます。それぞれの期間に天一神がいる方角を塞(ふたがり)といい、その方角に向って事を起こしたり、その方角に真っ直に進んだりすることを避けました。これを方忌み(かたいみ)といいます。天一神は特に平安時代に強く信じられ、当時の方違え(かたたがえ)のほとんどは天一神のいる方角を避けたものでした。昨年のNHK大河ドラマの「光る君へ」でも、行事の時に、方違えがよく行われていました。何のことだか、わからない人がほとんどだったと思いますが、きちんと時代考証がなされていて、好感をもちました。今年は巳年なので、初巳の次にくる巳の日であり、しかも癸巳なので、巳に関わる神社は人手が予想されます。詳しい由縁はあまり知られていませんが、「とにかく縁起のいい日らしい」ということで、お参りする人が多いと思われます。日本に限らず、信仰というのはその程度の人が大半でしょう。敬虔な信者というのは数少ないと思います。それはそれでよいのであって、気軽にお参りし、ささやかな願いをするという日常こそ平和でしょう。ほんの少しの知識を増やすと、なお一層意義深く、幸福感が増すかもしれません。
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