初天神

1月25日は初天神です。「初天神」(はつてんじん)は古典落語の演目として有名です。元は上方落語でしたが江戸落語でも演じられるようになりました。原話は安永2年(1773年)に出版された『聞上手』の「凧」だそうです。柳家小三治の得意話で、名演が音源や動画に残っています。初天神は、天神様(菅原道真)を祀る天満宮に、正月の25日に参詣することで、その日に行われる縁日を指すます。道真の誕生日が6月25日であり、亡くなった日が2月25日なので、同日を吉日としています。毎月、縁日があるのですが、その年の初めての縁日なので、とくに賑わいます。落語の初天神のあらすじは、1月25日の初天神の日に、男は1人で天満宮に行こうとするのですが、女房から息子(金坊)を連れていくようにいわれます。あれこれ買って欲しいとねだられることを予想していたため、男は息子を連れていきたくないのですが、父親が天満宮に行くと知って息子は、連れていかないと近所に親のあることないことを話すと脅す。しかたなく男は、何もねだらないと息子に約束させ、天満宮へ連れて行きます。何もねだらないと約束した息子でしたが、道中で、あの手この手で、何かしら買わそうとします。やがてその相手に疲れた男は、口を塞げればいいとして飴と団子おやを買ってやります。参拝を終えた帰路、凧の屋台の前を通りかかり、息子は凧を買って欲しいとねだる。男は拒否しようとしますが、凧屋の店主も息子を煽って、結局、凧を買うことになりました。2人は天満宮の隣にある空き地に向かい、買ったばかりの凧を揚げようとします。子供時代に腕に覚えがあった男は、先に自分が見本を見せてやるといって凧を挙げるが、そのまま自分が夢中になってしまいます。いい加減、代わってくれと息子は何度も頼むが、無視され続け、最後に諦めて息子が言います。「こんなことなら、親父なんか連れてくるんじゃなかった」というサゲです。団子を買う場面で、壺に入った蜜を舐めた団子で、二度付けしたり、男の方もけっこう適当なところが滑稽です。江戸っ子のオヤジと、こましゃくれた子供の軽妙なやりとりが、ほのぼのとした親子関係を描いていて、人気があります。菅原道真は、平安時代に活躍した学者・政治家です。学問だけでなく和歌も得意とし、多くの人の尊敬を集めました。幼少期から才能を発揮し、若くして要職に就いた経歴を持ちます。しかし出世の早さが災いしたのか、貴族たちの反感を買って九州に左遷させられた後、都に戻ることなく亡くなりました。道真の遺言には、遺骸を「牛に運ばせ止まったところに墓場を建ててほしい」とあり、牛が動かなくなったところに埋葬されたといわれています。亡くなった後、天皇の住まいの清涼殿が落雷の被害にあうなどしたため、朝廷は道真の祟りだと恐れ、天満宮を建立して祭ったと伝えられています。しかし、江戸時代以降は、道真の才能や人柄が慕われ、学問の神様として広く崇められるようになりました。今では、「受験の神様」として、この時期になると受験生の参拝が急増します。最後はやはり「神頼み」なのが、日本人です。
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