言語技能測定技術と言語教育理論⑨ 会場試験とWEB試験
![コラム挿絵:手話技能検定のイメージ画像](https://kanda-arc.net/wp-content/uploads/0ffa1fff6072239dc781a06c82dfcf7b.png)
手話技能検定試験では、数年前からWEB試験を開始しました。これは新型コロナによる会場試験ができなかったことと、台風などにより中止になる会場が出てきたためによる対策です。また会場試験は当初、できるだけ多くの会場を設置することを目指していましたが、会場の借り出しには厳しい条件がありました。多人数にビデオ画像を提示する必要があるのですが、そうした施設をもっているのは、大学などの学校に限られます。そして、全国一斉に試験を実施するためには、大勢の熟練したスタッフが必要になります。また試験時期によっては、大学の行事や学会などの日程と重なるなどのこともあり、試験日を予告して実施するのは至難の業です。そして、そうした時期は他の資格試験と重なることも多く、会場選びは今も大きな課題になっています。また大学側も高価な装置を貸し出すには躊躇もあり、試験日の翌日に装置が動かなくて、講義に差し支えるなどの支障を警戒し、貸し出しを制限しています。さらに、職員の休日出勤などを制限する「働き方改革」を促進するため、施設管理を外注するようになっています。施設管理の外注先は警備が主で、設備の作動には不案内のことが多く、装置の不具合があっても対応できないケースがほとんどです。また、手話検定は、聴者だけでなく、聴覚障害者も受験でき、実際、視覚障害以外の障害者の受験も増えてきました。車椅子で来場される方もあり、そのための駐車場確保が難題です。また試験会場の机の問題もあります。さらには、運動機能障害の受験者、弱視の受援者、小学校低学年の受験者など、多様な受験者もあり、対応がかなり複雑です。近年は外国人受験者もあり、試験問題の漢字が読めないなどといった問題も発生してきています。盲人の方から、触手話による受験ができないのは差別だというクレームには困りました。そもそも試験ができるのかどうか、そしてコストが不明です。触手話を推進している団体が対応すべき問題だと思われます。現在普及している手話と触手話が同じである、とはいえません。一口に触手話といっても、盲人の触手話と聾盲の人の触手話には違いがあることが想像されます。指点字のようなシステムもあり、コミュニケーション手段が複雑で、今後の研究の成果がまとまらないと、技能試験には対応できないと思われます。会場試験には場所と人員の問題があり、地方の方は交通費と時間をかけて受験しなければならない、という不利があります。その対応策として、集団受験という制度も設計しました。今でも企業や学校単位で受験していただいています。それをさらに進化させたのがWEB試験です。これは近年の動画配信技術の進化により可能になりました。インターネットを利用した試験方法には、まだ数々の問題がありますが、それらについては1つひとつ解決する努力を続けています。会場と人員という問題はそれなりに解決できますが、システムの不具合や課金システムなど、新たな問題があります。コロナ禍や台風には対応しやすいのですが、一難去って、また一難、という感じです。設立当初には想定しなかったことが次々に起こります。
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