穀雨

4月20日から二十四節気の穀雨に入ります。二十四節気の一つ「穀雨」とは「雨降って百穀(ひゃっこく)を潤す」という言葉から来ています。名前の通り温かく柔らかい雨が降り、田畑を潤す時期です。春分や清明の時は晴れたり曇ったり、温かかったり寒かったりと春の変化が多い気候でしたが、穀雨の頃になると気候が安定してくるため、種まきに最適な季節になります。昔から農作業のスタートは穀雨を目安にされてきました。農作業と雨とは切っても切れない関係です。太陽黄経が30度の位置にあたり、立夏の前日までを言います。穀雨の後には、気温が一気に上昇に夏の訪れを迎えます。穀雨を潤す春雨が降る菜種梅雨の頃を指します。七十二候は以下です。
初候:葭始生(あいはじめてしょうず):
あしが芽生え始める時期です。最近はあしを見ることも稀になってきましたから、実感はわかないかもしれませんね。
次候:霜止出苗(しもやみてなえいずる):
霜が終わり稲の苗が生長する時期という意味です。昔の農家では種籾から育てるのですが、今は苗を買ってくる農家も多いそうです。
末候:牡丹華(ぼたんはなさく):
牡丹の花が咲く時期です。牡丹園などに観光する人も増えました。「立てば芍薬(しゃくやく)座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という美人の例えも知る人がすくなくなりました。下手に言うとセクハラといわれそうです。
穀雨の頃の食べものとしては、
春キャベツ: 柔らかくて水分が多い。新玉ねぎ: 甘みがあり、素材の味が楽しめる。
新じゃがいも: しっとりとした食感が特徴。
清見オレンジ: オレンジの香りとみかんの味が楽しめる。
よもぎ: よもぎ餅に使われ、栄養価が高い。
こごみ: 4月から5月に旬を迎える山菜。などが楽しめます。
食べやすいものが多く、季節を感じるには最適です。
この時期は俳句にもなりやすく、多くの名句があります。個人的好みで選んでみました。
掘返す塊光る穀雨かな/西山泊雲
風眠り穀雨の音か夕早し/小倉緑村
傘立てて穀雨の雫地に膨れ/峰尾北兎
鎌倉や穀雨を待たぬ窓の闇/石川桂郎
穀雨なる決断の指開きつつ/松田ひろむ
落款の少しかすれて穀雨かな/都筑智子
水郷に櫓の鳴き昏るる穀雨かな/市川花庭
苗床にうす日さしつゝ穀雨かな/西山泊雲
伊勢の海の魚介ゆたかにして穀雨/長谷川かな女
琴屋来て琴鳴らし見る穀雨かな/長谷川かな女
いかがでしょうか。昔の風情が想い浮かんできたでしょうか。
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