Remember Pearl Harbor



Rememberは3音節、Pearl Harborも3音節で、しかも-ber, -borと韻を踏んでいます。つまりRemember Pearl Harbor.は記憶に残りやすい上手なキャッチコピーです。1941年12月8日の真珠湾攻撃について、日米では歴史的解釈に違いがあるそうですが、それは他のサイトで検証していただくとして、戦争などで国民の気持ちを誘導するために使われるキャッチコピーについて考えたいと思います。

英語では脚韻と強勢パタンによる作詩法が基本ですが、日本語の作詞法では七五調や四文字熟語がよく使われます。太平洋戦争中の日本では鬼畜米英が使われました。ここでもベイエイという同音韻反復が使われ、覚えやすくなる工夫があります。戦後はカタカナ語つまり外来語が急増し、その場合は複合語の単語それぞれから最初の2音ずつとる省略が基本になっています。たとえばパーソナル・コンピュータはパソコンになります。この省略規則はかなり強力なしくみで新語にも適用されるため、いわゆる和製英語になることもあって、外国人の日本語学習者を悩ますようです。近年だとオリパラ(オリンピック・パラリンピック)があり、外国語の省略法とは異なるので、日本語話者にはすぐに理解できますが、外国人にはすぐにはわからないようです。

政府や自治体の政策や法案などは最近、長い名前やカタカタの外来語が入ることが増えていますが、国民が実際に使用する場面では日本語の省略法が適用され、時にはそれが専門家同士の符牒になることもあります。安全保障は略して安保といい、アンポという3音ですが、デモなどの標語として安保反対を唱える場合、「アンポーハンタイ」のようにリズミカルになるのは長音化して3音を4音にしているからです。長音はリズムとして2音に扱われます。キャのような拗音は2文字ですが、逆に1音扱いされることも多く、時には2音になることもあります。キッのような促音は原則2音ですが、1音扱いのこともあります。こういう融通性も日本語の特徴といえます。

漢字とカタカナが混じることもありますが音節数は4という法則は守られています。生ワクチンを略した生ワク(なまわく)は4音です。音節という単位は日本語と英語では若干異なっていて、言語学では日本語の音節はモーラという独自の単位になっています。俳句や和歌なので1文字と考える1拍がモーラです。ですから上記の省略規則は厳密にいうと2+2の4モーラに縮小する規則ということです。 実際、この4モーラ語は非常にたくさんあります。そのためコンはcon,comのいずれの場合もあり、concert, contest, computerなどの略語がすべてコンとなりコン(混)乱を招きます。

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