秋土用の辰の日に〇〇〇
令和4年10月30日は旧暦の神無月六日で秋土用の辰の日です。夏土用は丑の日なので、「う」のつく食べ物、黒い食べ物でしたが、秋土用は辰の日で青い食べ物の縁起がよく、「た」のつく食べ物がよいとされています。たまねぎ、大根などが伝統的野菜です。青いものといえば魚の青物で、この時期に出回るのが秋刀魚です。秋刀魚に大根おろしは定番ですが、ぜひ辰の日にお召し上がりください。今年は秋刀魚があまり安くないようですが、縁起物と思って召し上がってください。
「た」のつく食べ物としては、鯛、蛸、玉子、タケノコ、高菜などが思い付きます。タニシもありますが、今では入手が困難です。やや変則的になりますが、タコ焼き、鯛焼、たぬき蕎麦、タンメン、タンドリーチキン、タコライスなどが思い付きます。
「た」のつく食べ物としては玉子が一番身近ではないでしょうか。10月30日は「たまごかけごはんの日」なのをごぞんじでしょうか。第1回日本たまごかけごはんシンポジウムが2005年10月30日に開催されたことに由来します。今年は「たまたま」辰の日に重なるという偶然ですが、何かの縁かもしれません。玉子かけ御飯は通称TKGと称されて国民食になっていると思います。玉子も米も日本の農業技術の結晶ともいうべき農産品で、それが結合した最高傑作です。もっと評価されてもよいはずですが、値段が安いせいか高級料理としては扱われません。玉子の生食は日本独特の文化であり、韓国のユッケや欧州のタルタルステーキのような生肉と合わせる例外を除けば、海外で生卵を食べる習慣はないです。原因はサルモネラ菌食中毒が広く知られており、加熱して食べるのが普通です。例外的に薬用として黒ビールに入れて風邪薬にする(英国)とか、ミルクと混ぜてミルクシェイク(ミルクセーキ)にする(フランス)、さらにラム酒を混ぜてエグノグとして祝杯にする(アメリカ)などがありますが、彼らは生卵であることを意識していません。生卵は絶対食べない、野蛮だと言い張る欧米人は多いです。すき焼きの肉を生卵につけることを拒否する人もかなりいます。日本で生卵食が始まったのは江戸時代のようですが、玉子かけ御飯が広がったのは戦後です。サルモネラ菌は鶏の腸管に存在しているので産卵後に糞便などから卵殻に付着します。そこで鶏卵業者は選別とパック詰めの段階で亜塩素酸ナトリウムによる殺菌処理をしています。また割れた玉子は感染の危険があるため、高度な選別技術で排除しています。それでいて安価に提供されているのは凄い事です。米作の高度な技術はよく知られていますから、新米の美味しさは海外での評価も高くなりました。海外では日本食料理店でしかTKGが食べられませんが、おにぎりと並ぶ米食の代表としてラーメンほどの高カロリーではなく健康食としてハマる外国人も増えています。
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