パンの日



4月12日はパンの日です。パンは戦国時代に日本に到来していたようですが、日本でパン製造が本格的に始まったのは1842年です。この2年前に中国で起こったアヘン戦争が日本にもその戦いが飛び火するのではないかとおそれを抱いていた徳川幕府は戦争準備にかかせない兵糧の問題でした。米は炊くときに煙が出るため敵に見つかってしまうことを恐れました。初めてこの時に問題になったわけではなく、古来、炊事が戦闘の時に問題ではあったので、すでに干米(枯飯かれいい)や乾燥栗などの非常食がありましたが、米以外に長期保存ができて携帯できる兵糧を探しているなかで、パンが候補に挙がりました。幕府に命じられた軍学者江川太郎左衛門は師である高島秋帆の付き人の作太郎を伊豆の韮山に呼び寄せました。作太郎は長崎のオランダ屋敷で料理番をしていたことから製パン技術を習得していたのです。パン窯を作るところから始めて1842年4月12日に第1号となるパンを焼くことに成功しました。パン食普及協議会が1983年にパンの日を制定、同時に毎月12日をパンの日としました。パンの日は毎月あるのです。最近はにわとりの日(28日)や肉の日(29日)もあってセールがあります。
現在の日本のパンはかなり進化して、欧米のパンとはかなり違ってきました。あのもっちり感は日本独特の感触で、外国旅行をしていると日本のパンが恋しくなります。とくに進化したのが菓子パンや調理パンで、外国ではみかけません。恐らくアンパンから始まったのでしょうが、中身もいろいろバラエティがあり、とくにメロンパンなど外国人はびっくりします。日本ではパンの耳を切った三角や長方形のサンドイッチが当たり前ですが、外国ではみかけません。コンビニで当たり前のようにパンが売られていますが、外国からの観光客には珍しいので、最初は戸惑うようです。もはや日本食なので、外国人は好みがわかれますが、自国のパンがいいという人と日本のパンにはまる人にわかれます。同様に進化したものにラーメンがありますが、日本人はこれが日本食であることはテレビ番組などで知りましたが、パンについてはいまだに洋食と思っている人が多いのではないでしょうか。フレンチレストランなどで付け合わせにライスかパンかを聞かれますが、これも日本独特の習慣です。そもそもライスは欧米では野菜の一種でつけあわせのポテトやニンジンなどの温野菜と同じ扱いです。一方、パンはメインディッシュの前に食べるのが普通です。イタリアンのパスタも同じです。欧米のレストランでは最初にバスケットに入れて布をかぶせたパンがでてきます。ほぼ自家製の自慢のパンなので、まずそれにバターをたっぷり載せて(広げて塗るのでありません)、パクパクと食べます。日本人はメインと一緒に食べる習慣なのでメインが出てくるまた待っています。その間にせっかくの温かい出来立てが覚めてしまいます。そして次にスープやサラダが出てきますが、その時にパンを下げられてしまうこともあります。ここで日本人は慌てます。置いておいてほしいと告げるとウエイターに怪訝な顔をされます。彼はきっとこの人はパンが嫌いなのだと思ったでしょうね。もし黙っていればさっさと下げるでしょう。「ボーっとしてんじゃねえよ」です。レストランではすべての料理がベストの状態で出てきますから、順番があるのです。日本食はよほどの高級割烹でないかぎり、一度に全部でてきます。順番は食べる人がチョイスします。この食文化の違いはいろいろな局面に影響していると思うのですが、その話はまた別の機会に。ついでにrolls,bread,bunの違いもいつか。

パン

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