プログラミング
6月19日はロジックという語呂合わせで、「プログラミング教育の日」だそうです。たしかにプログラミングはロジックの積み上げですが、単なる計算式の連続とは違います。プログラムというのは番組とか、計画とか予定とか、順番とか、カリキュラムとか課程とか、政党の綱領を意味することもあり、かなり意味の広い語です。それらすべてにロジックがあるかというとそうでもなさそうです。しかし現在、プログラミング教育という場合、工学的な意味のコンピュータを作動させるための手順の記述だけを指すようです。
コンピュータのプログラムの場合、厳密な手順を指定しないと機械は動きません。その手順はプログラミング言語という数学的な人工言語で記述します。言語といっても人間の言語とは異なり、曖昧性や感情などはありません。アルファベットで書くので言語に似ているだけで、ほぼ数式と同じしくみです。数式といっても算数のような簡単なものから、高度なものまで、いろいろあるように、プログラミング言語もいろいろあり、最近では人間の思考に似た言語もでてきています。
プログラミング教育では完全なプログラムの記述の前に、まずある程度、手順が揃ったひと固まりのセットを組み合わせるという方法で動かすという勉強法があります。このひと固まりをモジュールというのですが、これだとプラモデルを作ったり、積み木やロゴで遊ぶのと同じ感覚で楽しめます。こういう組み合わせの技術はこれから不可欠になります。そのためコンピュータに弱い世代の親とか、会社のパソコンで苦労した親が子供に習わせようとする傾向がありますが、これは英語で困った経験の親が子供に英会話や幼児英語を習わせるのと同じで、必ずしも期待通りにはなりません。ロジカルな思考には向き不向きがあり、子供に強いるとかえって嫌いになる可能性もあります。昔の読み書き算盤の時代でも、それが苦手な人もいましたし、商人として営業向きの人も、職人的な人もいました。昔でも読み書き算盤がまったくできないよりは、少しでもできる方が有利なことは同じでした。江戸っ子の中には「職人だから字が読めねえのはあたぼうよ」なんて人がいたかもしれませんが、落語の中でもそういう人はいろいろ苦労するのが笑い話のネタになっています。実際には多くの子供は寺子屋に通い読み書きくらいは習っていましたから、日本の識字率は当時、世界一高かったのです。寺子屋や藩校での教育というベースがあったので明治の普通教育が浸透したともいえます。
プログラミングや情報機器の利用は現代の読み書き算盤といえます。寺子屋の師匠にでもならない限り漢籍が自由に読める必要はないのと同じで、高度なプログラミング技術は専門家になる人だけが学べばよく、日常生活や社会生活に必要な程度の技術は習得しておくべきです。昔はプログラミング技術を学ぶには工学部に行く必要がありました。しかし今では専門学校も増え、街に教室も増えてきて、手軽に学べるようになりました。インターネットで自習することもできます。
その分、教育技術も上がってきました。家庭で楽しく学べるのは良い時代の証拠です。
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