君が代
8月13日は国家君が代の日です。1893年(明治26年)のこの日、文部省が訓令「小学校儀式唱歌用歌詞並楽譜」を布告し、小学校の祝日・大祭日の唱歌に『君が代』『一月一日』『紀元節』など8曲が定められました。『君が代』の歌詞は、『古今集』の読み人知らずの和歌に、イギリスの軍楽隊長フェントンが曲を作り、歌われていました。しかし、メロディーと歌詞が一致していないということなどで、それを宮内庁雅楽課の林広守が現在の曲に作り替えたということです。
オリンピックなどで、いろいろな国の国家を聞くことがあります。ほとんどが勇ましい感じの曲が多い中、日本の国家だけがゆったりした曲で、独特の感じがあります。国家の多くは独立記念であったり、革命記念であるため、戦勝記念の要素が強く、行進曲のようになりがちです。アメリカ国歌も「星条旗よ永遠なれ」(Star Spangled Banner)も独立戦争における厳しい戦いであったマクヘンリー砦の戦いで、イギリスの猛攻撃に耐えたことを記念しています。あのメロディは当時のイギリスの流行歌「天国のアナクレオン」(To Anacreon in Heaven)が原曲で、アナクレオン とは、アテネで活躍した古代ギリシアの抒情詩人の名前です。酒と恋愛をたたえる気楽な作品を数多く残しています。そして18世紀ロンドンでは、アマチュア音楽家の紳士たちの社交クラブとして、アナクレオンの名を借りた「アナクレオンティック・ソサエティ(Anacreontic Society)」が発足し、『天国のアナクレオンへ』は、同クラブの公式ソングとして18世紀後半に作曲されたという逸話が残っています。この由来を習うアメリカの子供たちには正直理解しがたいようです。アメリカ人の多くも歌詞はともかく、このメロディは歌いにくく、歌手による独唱か演奏が中心になっています。愛国歌であるAmerica the Beautifulの方が歌いやすく内容も大自然を歌う美しい内容なので好む人が多いようです。
日本の国歌は原詩が「読み人知らず」とされる一般庶民の和歌が古今和歌集という平安時代の勅撰和歌集の中にあり、文化においては身分の上下を問わず尊ぶという日本古来の習慣を反映しています。そしてメロディは雅楽の旋律が応用されています。明治時代に欧米を真似て作成されたとはいえ、典雅な文化を反映しています。どこの国でも国歌や国旗は尊崇される存在ですが、日本ではそれらに反対する人々がいても、国家反逆罪にならない、という不思議な習慣があります。論理的には好き嫌いは別として国歌や国旗をないがしろにすることは国家をないがしろにすることであり、反逆とみなされるのが当たり前です。外国には理解されない日本の実情の1つです。
個人的には君が代を行進曲に編曲した日の丸行進曲が好きです。諸外国に習うならこちらを準国歌にすると、オリンピックやスポーツの大会にふさわしい勇ましい雰囲気がでます。たぶん反対する人が多いでしょうが、それなら代案となるものを提案してほしいと思います。
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