迎え火
8月13日は新暦でお盆をする人にとって、ご先祖様をお迎えする迎え火を焚く日です。火を焚いて迎えるという習慣は日本独自のものではなく、近年、日本だけでなくアジアに広がっているハロウインでも、根本であるドルイド教では、火を焚いて霊を迎え、新年を迎える習慣がありました。それがハロウインのカボチャの灯火へと変わっていきました。蠟燭の灯火は焚火の変形とも考えられ、火を焚くことが悪霊を追い払うという思想は世界の宗教に普遍的に存在します。文化人類的に考えれば、人類にとって火の使用は文明の最初であり、記憶に深く刻まれていると推測されます。
日本のお盆は仏教の盂蘭盆会と道教の中元節の行事が混淆したものだといわれています。旧暦の7月15日は中元節の鬼月に当たり、鬼月には地獄の門が開くので、さまよう死者の霊や悪霊を慰めて鎮める意味があります。中国本土では共産党により弾圧を受けてほぼ消滅した風習ですが、台湾やシンガポールなどの中華圏では今も行事を行われています。ただ日本と同じく盂蘭盆会と重なり融合した行事となっています。
日本に「盂蘭盆会」が伝わったのは、7世紀頃といわれています。最初は宮中の行事として行われており、「日本書紀」には、斉明天皇や聖武天皇の時代に盂蘭盆経を講じ、供養を行った様子が記されています。聖武天皇時代の733年以後は、恒例の仏教行事として毎年供養が行われるようになり、その後、貴族社会や武家社会へと広がっていきました。鎌倉時代末期には、民衆の間でも先祖のために読経し、供え物をするという風習が広がったそうです。盆棚(精霊棚)を準備し、菩提寺の僧に棚経をあげてもらうという供養が行われるようになったのは、江戸時代初期に寺請け制度が始まった頃からです。迎え火や送り火の風習も、江戸時代に入って盛んに行われるようになりました。(https://www.e-butsudan.com/guide/1810/)
お盆の迎え火はお盆休みの始まりであり、夏休みとしている会社は今でも多いです。元来は帰省して実家でお盆を迎えるための休暇でしたが、核家族化が進んだ現在は単なる夏休みです。そのため、山の日から連休というケースも増え、ゴールデンとはいいませんが、長期休暇の時期であり、観光地は書き入れ時となります。日頃、節約生活をしている庶民も旅先では財布の紐も緩むため、ここぞとばかり消費します。交通費や宿泊費も高い時期なのですが、それでも消費に向かうのはマスコミに煽られるせいかもしれません。この時期は土用が過ぎて、台風もやってくる時期なので、天候的にはあまり観光には向いていません。むしろ実家でなくとも、家で家族と共にご先祖の供養をしたりして、ゆったりとした非日常を楽しむのもよいのではないかと思います。この機会に子供にも伝統を教えたり、先祖について教えたりするのも家族愛だと思います。
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