書き言葉は大切 2


打ち言葉

最近の表現ですが、「打ち言葉」というのがあります。まだ定着した表現ではありませんが、話し言葉と書き言葉の中間というか、混ざった文体という意味です。スマートフォンの普及とX(旧twitter)の中で使われる特殊な短縮形の表現を指しています。パソコンの時代から、英語圏では、e-mailで特殊な短縮表現が使われるようになりました。英語圏ではmailには手紙と言う意味もあるので、e-mailに対し、普通の手紙をsnail mailと言っています。日本ではメールといえばe-mail電子メールのことになったので、使い分けはしていません。電子メールやSNSでは短文でのやりとりが基本なので、そのための文体が発達しました。それが打ち言葉です。とくにスマートフォンの辞書変換は文字を打つと予想変換をしてくれるので、その変換結果が頻繁に往復することになります。

一方で、話し言葉の方も、若者を中心に短縮形が普及しています。「あけまして、おめでとうございます」がアケオメになったのも、もう一般化しています。このアケオメも日本語の省略の法則通り、2文字連鎖の4文字になっています。こういう法則kは意外に維持されていくのも言語の特徴です。

打ち言葉は分類すれば書き言葉の変種ということができます。打ち言葉以前に、話し言葉に近い表現はすでに登場しており、漫画のセリフは話し言葉の表記が中心であると同時に擬音語や擬態語が頻繁に書き込まれるという特徴もあります。しかし打ち言葉では状況説明として擬音語や擬態語が使われることは少なく、その代わり、感情表現の代理として絵文字が使われます。打ち言葉の特徴の1つは個人的使用であり、漫画は公共的使用という違いがあることがいえそうです。

このように話し言葉が時代と共に変化していくと同時に、情報媒体つまりメディアが発達すると書き言葉も変化していきます。その変化速度は手書きや印刷の時代の変化に比べ、メディアの進化速度に合わせて、かなり速くなってきました。こういう変化は誰かが命令したり指示しているのではなく、言語使用者という集団の中で自然に形成されていくものです。そしてその変化の速度も方向もなかなか予想が難しいのが現実です。すでに出来上がったものを分析することしかできないのです。

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