Family name
明治8年(1875)2月13日、「平民も必ず姓を称し、不詳のものは新たにつけるように」と苗字を名乗ることを義務づける「平民苗字必称義務令」という太政官布告が出されたのを記念して、この日が苗字制定記念日なのだそうです。ということはそれまでは、庶民には苗字がなかったわけです。今、夫婦別姓の問題が議論になっていますが、これも「姓があるから」という視点も成り立つ訳です。しかしそういう主張は聞いたことがありません。原因は戸籍に姓が不可欠という前提があります。
個人の特定には姓が必要かもしれませんが、日常生活において不可欠かどうかは再考してみると面白いです。会社や世間では苗字で〇〇さんと呼ぶのが普通ですが、欧米ではファースト・ネームで呼び合うのが普通であることはよく知られています。英会話の入門でWhat is your name?という質問に対して、日本人のほとんどはフルネームで答えることのですが、英会話の基本からいうとファースト・ネームだけが普通です。JohnとかMaryだけでOkで、その後、Nice to meet you, John.のように続くのがプロトコルつまり定式です。その後の挨拶もHi, John.のようにシンプルです。むろんformalな場面ではMr. Bidenのように姓を使いますが、そういう場合は敬称というか、立場の名称を使います。Mr. PresidentとかYour Majestyのようにいいます。これは日本でも同じで、総理、とか先生などといいます。これに姓をつけてるのが普通です。
日本では友達同士の間でも、ヤマダとか姓で呼ぶこともある一方、ユメちゃんのように愛称で呼んだり、呼び捨てのこともあります。
明治時代に苗字を強制したのは富国強兵政策の一環です。それ以前から、武士には姓と名の他に役職名がありました。織田上総介信長だと上総介がそれです。本来は実際の職名でしたが、次第に単なる名前になっていきました。公家も同様に職名がありました。庶民は住んでいる村名と家には屋号があるので、それで識別できました。出身地と名で個人を識別することは、世界中にあり、あのキリストもナザレ(出身)のイエスと呼ばれていたわけで、キリストとは救世主という一種の称号なわけです。アラブ世界では今でも親の名をそのまま継いで、その後に自分の名前を付記していくので、長い名前の人はそれだけ長い歴史をもつ家の人という意味になります。
中国や韓国では女性が結婚しても姓は変わらず父親の姓を名乗ります。男系支配社会ですが、夫婦別姓議論にはあまり話題になりません。姓はその国の文化なので、必要に応じて変わっていきます。政治的に無理な変更をすると、ゆがみが出るのも自然なことです。
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