Happy Birthday, America


北米

July 4thはアメリカ合衆国の独立記念日です。Independence Dayともいいますが、July 4thが通称のようになっています。USAは今年で247歳になります。ちなみにお隣の大韓民国は今年で78歳、中華人民共和国は74歳、ロシア連邦は31歳となります。日本はどこから独立とみなすかが問題ですが、2月11日を建国記念日として制定し紀元節を元にしていますから、2683歳ということになります。独立または建国というのは、現在住んでいる人が国の始まりはどこかと考えることによります。

現在USAとなっている土地も、昔から先住民が住んでおり、やがてヨーロッパ大陸(旧大陸という言い方もあります)から、まずスペイン、そしてイギリス、フランス、ドイツなど多くの人が移住してきました。いわゆるヨーロッパの植民地としたわけです。植民地以前には国がなかったのかというとそうではなく、先住民の中には国家意識をもち支配地域を確立していた民族もありました。そもそもヨーロッパ人が来る以前、南北アメリカには先住民がたくさんいました。スペイン人がインディオと呼んだ人々、現在、USAでネイティブ・アメリカンと呼んでいるモンゴロイド系の人々です。有名なインカ、マヤなどだけでなく、数多くの先住民が住んでいました。彼らはすべてが平和的に共存していたわけでなく、いわゆる部族間闘争もありました。言語や文化、宗教も多様で、ひとまとめにしているのは後からやってきたヨーロッパ人の都合です。後から来たヨーロッパ人も互いに牽制しあっていて、一番大きな戦いが英仏戦争です。フレンチ・インディアン戦争(1754-1763)と呼ばれることが多いので誤解されますが、アメリカの覇権を争って英仏が戦争し、それに先住民が分裂して参加したというのが実態です。その結果、イギリスが勝利し、ほぼイギリス植民地となったわけです。しかしそのイギリス植民地も植民地側(新大陸側)とイギリス側(旧大陸側)との争いになり、それが独立戦争(1775-1783)です。この時も実は、先住民は植民地側につく部族とイギリス側につく部族に分かれたのですが、植民地におけるイギリス人との争いが頻発していたため、当初はイギリス側につく部族の方が多かったようです。見方を変えると、移民(植民)同士の争いに先住民が巻き込まれて分裂して戦ったのがフレンチ・インディアン戦争とそれに続く独立戦争ということになります。この構図は今も続いていて、米政権は新移民を制限する政策(共和党)と新移民を歓迎する政策(民主党)に分裂し、大統領選と国会総選挙の争点になっています。そして新移民も共和党支持と民主党支持に分裂しています。かつて先住民と呼ばれた人々はもう少数派(マイノリティ)扱いとなり、最初の移民であった白人も数が減ってきており、次の移民である黒人やヒスパニックがマイノリティといいつつ多数派になっています。そういう人種間の争いが人権問題ということになり、次に性的マイノリティが運動を展開しています。アメリカ人というのはこうした重層的かつ多面的な人種社会なので、実はアメリカ人としてのアイデンティティが揺らいでいることに悩んでいるのがアメリカ人自身です。

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