立秋



文月十日は立秋です。暦の上では今日から秋なのですが、まだまだ暑い日が続きます。それで「残暑お見舞い申し上げます」というお便りをだすわけです。いわゆる暑中見舞いは昨日までに出すべきもので、秋なのにまだ暑さが残っています、という季節感なわけです。
七十二侯では「涼風至」(すずかぜいたる)となり、秋の気配を感じるようにはなりましたが暑さは残っています、という正に残暑のことを意味します。実際、空の雲も入道雲が減り、秋のうろこ雲が見られるようになる季節です。暦はつねに季節を先取りしていきます。
立秋は二十四節気の1つですが、この二十四節気も漢字からわかるように、夏至と冬至を「二至」、春分と秋分を「二分」、そしてそれぞれの中間に存在する立春・立夏・立秋・立冬の「四立(しりゅう)」となっており、これらをあわせて「八節」と呼び、季節を区分する言葉として古くから日本において重要な役割を果たしてきました。四立の前日は「節分」と呼ばれ、文字通り季節を分けているという意味です。2月の節分は日本の定例行事としてよく知られていますが、本来節分は年に季節の前なので4回あります。
お盆は夏の行事のような感覚があると思いますが、実際には秋の行事ということになります。旧暦でも盂蘭盆会は7月13-15日なので、立秋の期間です。新暦になってお盆を8月13-15日にするようになり、真夏のような感じになりました。そこに終戦記念日が設定されたため、そのイメージがさらに強くなったようです。
今年は雨が多く、梅雨入りと梅雨明けと戻り梅雨がごちゃごちゃになってしまいましたが、気象庁では梅雨は「晩春から夏にかけて雨や曇りの日が多く現れる期間」と定義されていて、まれに梅雨明け宣言がされない年があります。その基準となるのが立秋です。日本の上空にある梅雨前線が北上しきれずに、そのまま立秋を迎えると、その前線は秋雨前線となり次第に南下していきます。そのため、立秋までに梅雨が明けない場合は梅雨明け宣言がされず、その年は梅雨明けなしとなるわけです。なので今年は梅雨明けなし、となるのが本来ですが、今は新暦で判断しているようで9月になって判断が決まるらしいです。
立秋に決まった食べ物はないらしく、残暑で体力と気力が失いがちなので、水分を十分にとり、胃腸に優しい食べ物を摂り、忘れがちですが心のケアもしっかりする必要があります。暑いからとやたらに冷たいものばかりを摂って、ビールに合うからと揚げ物ばかり食べるのは胃腸に負担をかけます。枝豆やカボチャやナス、桃や梨、葡萄、メロンなどの果物でビタミンを摂取して、体調を整えるようにすると、心も自然に回復してきます。とくにトマトやキュウリ、ズッキーニなどの夏野菜が体の中の余分な熱を外に出して潤いを補給する効果があるそうです。人間の身体は季節の流れに自然に合うようにできているわけです。夏バテしたからといって肉ばかり食べてスタミナをつけるのではなく、体に優しくすることが回復につながるわけです。

立秋

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