姫始めと初売り
姫始めといえば、男女の…を始めてする日として有名ですね。実際、そういう風習もあります。これは世界的に類例がないと思います。外国でこの話をしたら、日本人はどうしてそういうことを考えるのか、と不思議がられました。断食が過ぎて大食いするとか、なら理解できますが、この日から始めるというのは確かに変ですね。
実は姫始めの起源はまったく違うものです。姫飯(ひめいい)といい、柔らかいご飯を食べる日です。固いご飯が強飯(こわいい)で、いわゆるおこわめしのことです。おこわは祝い事の日に食べます。正月は餅が中心で、これも糯米(もちごめ)を撞いたものですから、姫始めの日から普通のご飯をたべていい、という意味です。今では7日に七草粥を食べ、餅を食べ過ぎて胃がもたれているところに消化のよい粥でお腹を調整する、という風習になっています。しかし姫始めから普通のご飯でよいならば、それほど調整する必要はないですね。それでだんだん元の意味が廃れていったのかもしれません。
また別説では、女性が女の仕事、炊事・洗濯などを始める日ともいわれています。火(ひ)や水(みず)を使うヒミから転じたという説です。
現代の意味は秘め事から来たとも言われています。要するに起源は不明ということのようです。しかしこういう秘密めいた意味の方が興味を引くので、そちらが残っています。
2日に初売りという行事は今でも残っています。昔はトラックや荷車に「初荷」と書いた幟がついていることもありました。さすがの商売人も1日は休み、2日から商売を始めるということのようですが、今では年中無休という店も増えてきました。昔の子供は、1日にお年玉をもらっても元日は休みなので、2日の初売りの日におもちゃ屋に走ったものです。今ではお年玉はお母さんが預かるという方式が広がっているようで、ちょっとかわいそうな気もします。しかしクリスマスプレゼントももらっているし、金額が大きくなってきたので、買い物に行く必要も減ったかもしれません。むしろ大人の方が福袋目当てにデパートに殺到する、という風景が見られます。昔は在庫一掃セールのような感じでしたが、今では売り手がいろいろ考えて、福袋用に商品セットを作って競うようになりました。
欧米では元日は魔除けの日なので、花火を上げたり、大きな音を出す風習です。シャンパンを飲むのは、栓を抜く時に大きな音がでるからです。音は家中の音の出る物を利用します。皿を叩いたり、ホーンを鳴らしたり、クラクションを鳴らしたりします。音で魔を払うのは平安時代に弓を鳴らすのと同じ発想ですね。元日の翌日は普通の勤務日です。ビッグセールは感謝祭の前、クリスマス前なので、1月はむしろ売上減少です。
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