クールジャパン



7月31日はクールジャパンの日だそうです。NHK BS1の番組「クールジャパン」を制作する株式会社クリエイティブネクサスが制定したそうです。(https://zatsuneta.com/archives/107313.html)「クールジャパン(Cool Japan)とは、海外でクール(かっこいい)と捉えられている日本の商品・サービス・文化を表わす言葉である。アニメ・漫画・ゲーム・自動車・電気機器・食文化・ファッション・観光などが挙げられる。日本政府でも、日本の魅力を海外に発信するために「クールジャパン政策」として事業を展開している。「クールジャパン」の言葉の由来は、1997年(平成9年)にイギリスのブレア首相が宣言した「クール・ブリタニア(Cool Britannia)」とされている。」という解説でした。言葉の由来がイギリスの真似、という点ですでにクールではないと思われます。日本人にはクールというと「涼しい」「冷静」という意味しか感じられません。英語でも「かっこいい」という用法はかなり俗語的で、日本語にすれば「かっけえ」「かっくい」みたいなニュアンスです。ブレアという若い首相が俗っぽい表現で受け狙いしたのは、まあ理解できますが、日本の官僚や首相までが、まして国策にしているのを見ると、英語がわかっていないな、という印象しかありません。そもそもNHKが採用した時点で英語音痴がわかってしまいます。アニメやマンガなど比較的俗な文化に対してなら適切と思う人もいるでしょうが、自動車・電気機器・食文化・ファッション・観光にまで広げるなら、別の表現にすべきだったと思われます。たとえばBeautiful Japan。英語のbeautifulは日本語の「美しい」という意味だけでなく、「申し分のない、りっぱな、すばらしい、すてきな、あざやかな」という強い肯定的な意味があります。かつてのDiscover Japanはそれでも「まだ知られていない日本の魅力」(地方の隠れた文化発見)という連想が湧きます。人の知らない英語を使いたがる官僚はbeautifulでは誰もが知っているので、物足りなかったのかもしれません。こういう上から目線の政策は国内ならまだしも、海外戦略ではとんでもない失敗をしがちです。海外向けなら「美しい国、日本」というかつての標語のままでよかったと思われます。今どき、英語でないと海外発信できない、と考えていること自体が古いのです。むしろ日本語で発信し、それぞれの国がそれぞれの国語に訳して使ってもらうとか、一歩先んじるなら、それぞれの国語に合わせて発信するのが現代社会です。その点、「美しい国、日本」はどの言語にも翻訳しやすいです。クールジャパンは翻訳すると、誤解されそうなリスクがあります。「冷たい日本」よく解釈しても「冷静日本」なので、観光などで「おもてなし」として暖かい人情をアピールしようとしているのに逆行しています。クールジャパンは英語的にみると「生兵法は怪我の元」の例です。ところが日本の官僚はこの生兵法が大好きのようで、次々におかしな英語を得意げに使います。典型例が東京都知事かもしれません。本当の意味で、かっこいい国になるためには、まず劣等感をなくすことが大切でしょう。

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