立秋
8月7日は二十四節気の立秋です。最近のテレビの天気予報ではたいてい二十四節気の紹介があり、「暦の上では秋ですが、まだまだ暑いです」という紋切型のコメントがあります。ここでいう暦とは旧暦のことで、これだけ見ると「暦の方が季節を先取り」しているような印象になりますが、実際の旧暦では今日は文月(七月)四日です。つまり日付はほぼ一月遅れています。それは旧暦のしくみを知らないから起こる違和感です。旧暦は太陽太陰暦つまり太陽の運行と月の運行を組み合わせて作られています。新暦は単純化すれば太陽暦だけです。それで季節感は太陽歴にだいたい一致するわけです。二十四節気は基本が太陽暦で、古代黄河の季節に合わせたものだそうですから、元々ズレはあったでしょうが、昔の自然に従う季節感なら、それほど違和感はなかったのかもしれません。しかし今は自然観察ではなく、天気予報やエアコンの使用などで季節感を考えるようになったので、どうしてもズレがでてきます。二十四節気を更に三分割した七十二候はさらに微妙な変化を説明しています。立秋の七十二候は次のようになっています。
初候:涼風至(すづかぜ いたる)涼しい風が吹き始める。
今年はまだ暑い最中、むしろ猛暑の時期ですが、考え方を変えると、もうじき涼風が吹いてくる時期なのだ、と思えば、「あと少しの我慢」もできよう、というものです。すぐに文明の利器に頼るのではなく、自然と共に生きることの大切さを知ることが現代では重要になってきています。
次候:寒蝉鳴(ひぐらし なく)蜩が鳴き始める。
今年は蝉が鳴いているのが少ない、という意見もあります。あまり暑いと蝉も生き残れないそうですが、木が多い場所ではしっかり蝉の声が聞こえます。蝉の種類によって鳴き方が違うのですが、蜩は別名カナカナ蝉ともいい、鳴き声はカナカナということになっています。蝉の鳴き声を聞き分けるのは日本人だけらしく、そういう習慣のない文化の人々は虫の声はすべて雑音であり、存在すら認識しないとされています。実際、人間の耳は聴覚器官が音を認識しても、脳が認知しないと「聞こえない」のです。現代は交通の音や電子機器の音が溢れていて、それに慣れているので、だんだん蝉や鳥の声が「聞こえなく」なっているかもしれません。
末候:蒙霧升降(ふかき きり まとう)深い霧が立ち込める。
霧は空気の温度差により空中の水分が水蒸気になることで発生します。上空で同じことが起こると、雲になり、それが雨粒になって、大きくなると雨として落ちてきます。霧は低空とか地上付近での水蒸気化現象で、粒も小さいので、地面の起伏や水面を漂うことになります。晴れた日の夜間、地表面から熱が放射され地面が冷える(放射冷却)という現象があり、そうして冷えた地面が、地面に接している水蒸気を多く含んだ空気を冷やすことで発生するのです。これが放射霧です。霧とよく似たものに靄(もや)があります。気象観測では視程が1 キロメートル以上のものを靄と呼んで区別するそうです。
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