盆の入り



8月13日から、新盆の入りです。多くの人はこの日がお盆の入りで、迎え火を焚いたりして、お盆を過ごします。現代日本は13日から15日までをお盆休暇として休日としている会社が多いと思われます。

盆休みという習慣は江戸時代から続いています。昔の休暇は盆暮れの藪入りだけでした。お盆は日本で夏季に行われる祖先の霊を祀る一連の行事で、日本古来の祖霊信仰と仏教が融合した日本独自の行事です。中華文化圏には道教を中心として旧暦の七月を「鬼月」とする風習があり、中元節として盛大に祝う習慣があります。旧暦の七月朔日に地獄の蓋が開き、七月十五日の中元節には地獄の蓋が閉じるという考え方は道教の影響を受けていると考えられます。台湾や香港、華南を中心に現在でも中元節は先祖崇拝の行事として盛大に祝われています。日本も昔はその影響があり、伝統的には旧暦7月15日にあたる中元節の日に祝われていました。しかし、日本では明治6年(1873年)1月1日から西洋のグレゴリオ暦を採用。太政官の改暦の布告で新暦7月15日に盆を行うことを原則としたのですが、従来、日本の多くの年中行事は旧暦を基にしていたため、年中行事によっては新暦の採用によって季節が合わなくなるものが生じるようになりました。特に新暦の7月15日が農繁期にあたる地域では著しく支障があったため、地方によってお盆の時期に違いがみられるようになり、新暦8月15日をお盆(月遅れ盆)としている地域が多くなり、現在に至っています。

夏の花火大会ももともとは川施餓鬼の法会を起源として供養に繋がるものでしたが、今では会場の都合やテレビ局の都合などで土日の適当な日に行われるようになり、お盆との関係は薄れてしまいました。また戦没者を供養するという意味から、大空襲の日や原爆の日に灯篭流しなどの行事をするところも増えてきました。13日夕刻には家の外に野火を焚き、迎え火(むかえび)と呼んで、精霊(しょうろう)棚の故人へ色々なお供え物をする習慣が残っています。また人が亡くなり49日法要が終わってから最初に迎えるお盆を特に初盆(はつぼん、ういぼん)または新盆(しんぼん、にいぼん、あらぼん)と呼び、特に厚く供養する風習があります。地方によってやり方が異なりますが、初盆の家の人は門口や仏壇、お墓に白一色の盆提灯を立てたり、初盆の家の人にそういった提灯を贈ったりして特別の儀礼を行ないます。初盆以外の時には、模様のある盆提灯やお墓には白と赤の色が入った提灯を立てたりします。お盆の期間中には、故人の霊魂がこの世とあの世を行き来するための乗り物として、「精霊馬」(しょうりょううま)と呼ばれるきゅうりやナスで作る動物を用意することがあります。関東地方に多い習慣のようです。馬、牛として仏壇まわりや精霊棚に供物とともに置きます。きゅうりは足の速い馬に見立てられ、あの世から早く家に戻ってくるように、また、ナスは歩みの遅い牛に見立てられ、この世からあの世に帰るのが少しでも遅くなるように、また、供物を牛に乗せてあの世へ持ち帰ってもらうとの願いがそれぞれ込められています。子供たちに伝えたい風習ですね。

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