終戦記念日とお盆



8月15日は太平洋戦争の終戦記念日です。日本では天皇陛下の玉音放送がこの日にあった、ということで、国民が敗戦を知り日本軍がこの日をもって戦闘を停止したので、この日を「終戦記念日」としています。それは日本の自由なので、それでよいのですが、細かい過程をいえば、ポツダム宣言の受諾が8月10日で、降伏文書への署名は9月2日です。「戦勝国」であるアメリカからすれば、9月2日が「戦勝記念日」ということになります。8月10日から8月15日までの経緯は何度もドラマになっているので、ご存じの方も多いでしょう。しかし実際には15日以降もクーデターが起きたり、一部では戦闘が続いていて、28日から米軍の占領が始まり、占領が完成するのが30日なので、2週間近く首都占領が完成しませんでした。これは異例なことで、普通の戦争では首都が爆撃などで破壊され、陸軍による占領にそれほど日数を要しません。首都の占領が終戦ということになります。首都占領は米軍によるものでしたが、9月2日の降伏文書署名には「連合国」として、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、中華民国、アメリカ、フランス、オランダなど17カ国の代表団と、さらには8月8日に参戦し、15日の日本軍の停戦を無視して満洲や択捉島などで進軍を続けていたソビエト連邦の代表団も「戦勝国」の一員として臨席しました。ここに現在の中国と韓国、北朝鮮は参加していませんから、これらの国々は「自称戦勝国」ということになります。敗戦国というのはみじめなもので、何でも受け入れるしかない、というのが戦争です。しかし戦勝国は戦敗国に何をしてもよい、ということではなく、ハーグ陸戦条約(1899、日本は1912年に批准)という制限があり、連合国はすべて参加しています。しかし占領米軍はこれを遵守せず、とくに新憲法を押し付けたとして、今も議論になっています。日本は律義に法や条約を守ろうとする国民性があるため、外国にもそれを期待することが多いのですが、外国ではほとんど守られることがないのが実情です。ちなみに中華民国と帝政ロシアも加盟しているのですが、政権が変わったから関係ない、とする国もあります。そして成立後時間も経過しているので、参加国の間でも忘れ去られていて、国民に歴史として教えていない国がほとんどで、日本も例外ではありません。みんなが約束を守ってくれれば戦争など起きないはずですが、実際には条約を破るのが常習化している国もあり、オリンピックのようなスポーツの世界ですら、ルール破りがあったり、誤審や強国による恣意的なルール変更があるなど、公平公正な世界はどこにもなく、政治の世界では、むしろ逆行しているのが実情です。戦争のない平和は誰しもが望んでいて、実現されないのは人間の叡智の限界かもしれません。日本も終戦後、80年になろうとしているのですが、戦前、戦後の歴史は教えられることも少なく、封印されているかのような状態になっています。終戦記念日に「戦争を反省する」のであれば、まず歴史を正確に学習することから始めるべきでしょう。今はネットで簡単に調べることができます。

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