年功序列再考 ― ポスコロ ―
Covid-19の終息が見えてきて、世界はポスト・コロナの経済復興に舵を切っています。日本もあれこれ批判はあるものの、行動制限なしという政府方針はそのトレンドに乗るつもりです。制限がなくなるだけでは元に戻るだけですから、元の不景気に戻ったのでは意味がありません。これを好景気に転換できるような政策が必要です。賃金上昇が叫ばれますが、賃金が上がったところで儲かるのは所得税が増える財務省だけで、物価が上がる国民の生活が楽になるわけではありません。第一、不景気のまま賃金が上がるはずがないです。
ポスト・コロナは働き改革が起こります。日本でもリモート・ワークが一気に進み、出社しないことによる通勤地獄の緩和、地方移住の促進という今まで政府がどれだけ旗を振っても動かなかった国民が転換しつつあるわけです。地方移住は住宅費が安くなり、生活費も下がります。不便といえば娯楽が少ないこと、医療が未整備、高等教育の不足など、これまで都会に住まざるをえない状況だったものが、通信の発達でオンラインにてこれらが解決する方向が見えてきました。
まだ顕在化していない働き方改革で、年功序列制度の再考という大企業がでてきたことです。これまで年功序列社会の弊害が叫ばれ、その典型である政治の世界を見ていると長老支配の弊害が目につきます。しかしよく考えてみると、普通の社会には定年があり、組織はピラミッド型ヒエラルキーがあります。典型的な例は軍です。日本は表面上、軍を失っているので軍組織を肯定的に見る人は少ないのですが、軍は実力組織であり年功序列です。昔は王族が若くても軍のトップになることがありましたが、民主国家では年功序列で、いきなり20代の将軍はありえません。なぜかというと軍は経験が重視される社会だからです。そしてトップは競争社会を生き抜いた人で、それは隊の指揮官は一人という鉄則の上に成り立っていますから、必然的に上に行けば行くほど少数化していき、三角形のピラミッド・ヒエラルキーを構成します。
しかしこの三角形も頂点が増えて台形のようになると「船頭が多い」状態になって暴走したり弱体化します。そして下部の反乱つまりクーデターによって組織が一旦崩壊します。これは現在の外国の一部や日本の歴史を見れば多くの例があります。つまり年功序列という制度の弱点ではなく、序列上昇への競争が弱くなったことによる弊害で、競争が弱くなる原因は世襲や縁故という実力を伴わない序列上昇要因に問題です。現状の日本社会でいえば、やたら大臣が増えたり、完了ポストが増えているのが政治の弱体化の原因と見ることができます。その根本原因は年功序列ではなく世襲、縁故(閥)による人事が当たり前になっていることです。かつての日本社会は年功序列と終身雇用でした。これにより社員は安心して働き、忠誠心もあり、会社も社員を家族と考えて遇する習慣がありました。経済成長がそれによって支えられてきたという見方もできます。実際、これらを放棄した働き方をしてきた結果、長期の不景気になりました。温故知新、新たな転換期である今こそ、昔の日本社会の良さを見直すのがポスコロの要点です。
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