秋土用の入り


さんま

今日から秋土用に入ります。農業も暦を頼りにすることがなくなったので、世間の習慣も変わってきていますが、伝統を考えるにほよい機会です。秋土用は、立冬の前の約18日間を指します。この期間は、季節の変わり目であり、特に農作業や体調管理に注意が必要とされています。

土用は四季それぞれに存在し、春夏秋冬の土用がありますが、秋土用は特に冬の準備期間として重要視されています。秋土用には、特定の日として「土用の辰の日」があります。これは、夏の土用丑の日と同様に、十二支の「辰」にあたる日です。秋土用の期間中に巡ってくる辰の日に、「た」のつく食べ物や青い食べ物を食べると良いとされています。

2024年の秋土用の辰の日は10月31日です。この日に大根や玉ねぎなどを食べると、季節の変わり目に体調を整える効果があるとされています。この日は、特に体力をつけるために栄養価の高い食べ物を摂る習慣があります。夏土用の色は黒なので、鰻が珍重されるのですが、秋土用の色は青です。青といっても、現代のブルーではなく、青菜、青山のように現代で言う緑です。そこで青魚、青菜などがよいとされます。この時期は、赤や橙、黄などの色が、秋の収穫や紅葉を象徴しています。これらの色は、豊穣や実りの季節を表し、また心身を温める効果があるとされていますから、それでもよいでしょう。

秋土用には、いくつかの伝統的な習慣や風習があります。土用の間は土を動かすことが禁忌とされており、農作業や建築作業を避ける風習があります。また、体調管理のために、温かい食べ物や飲み物を摂ることが推奨されます。秋土用に特別な習慣がある地域はいくつかあります。関西地方では、秋土用の期間中に「土用餅」を食べる習慣があります。これは、餅を食べることで体力をつけ、冬に備えるという意味があります。また、東北地方では、秋土用の期間中に「土用干し」を行う風習があります。これは、収穫した作物を天日干しにして保存するための作業です。秋の晴れた日に行うことで、作物が長持ちし、冬の間も美味しく食べられるとされています。刈り取った稲を束にして干すための道具は「稲架(はさ)」と呼ばれます。稲架は大きな梯子状の装置で、刈り取った稲を掛けて天日で自然乾燥させるために使われます。この方法を「稲架掛け(はさがけ)」とも言います。『鉄腕ダッシュ』で見たことがある人も多いと思います。稲架掛けによる乾燥は、機械乾燥に比べてお米への負担が少なく、自然乾燥中に後熟が進むため、お米が美味しくなるとされています。そうした実用的な意味の他に、美しい秋の風物でもあり、都会では見られない日本の原風景のような風情があります。

秋土用は主に日本の風習ですが、中国の「二十四節気」には、季節の変わり目を示す「土旺用事(どおうようじ)」という期間があり、これが日本の土用の由来となっています。この言葉は、陰陽五行説に基づいており、季節の変わり目に土の気が盛んになる期間を指します。立春、立夏、立秋、立冬の前の18日間が「土旺用事」とされます。日本の土用は独自に発達した文化・習慣のようですから、大切にしたいものです。

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