元旦


元旦

「元旦」の語源は、中国の伝統的な暦である「太陰太陽暦」に由来します。元旦は「元日」や「正月初一」とも呼ばれ、新年の初日を意味します。「旦」という漢字は、上部に「日」(太陽)、下部に「一」(地平線)を組み合わせた形をしています。この形は、地平線上に昇る太陽のイメージを表しています。したがって、「旦」という漢字は「夜明け」や「朝」の象徴となります。基本的な意味は「朝」や「夜明け」を意味します。「一旦」(いったん、一度)は今でも使いますが、「一度の夜明け」や「一日の一区切り」といった意味が転じて、時間的に短い期間や一時的な状態を示すようになりました。例えば、「一旦停止」(いったんていし)は一時的に停止することを意味します。「旦」の字は、古代中国において日常生活の一部として使われてきました。特に農業社会では、日の出が労働の始まりを告げる重要な時間であったため、「旦」の概念は非常に重要でした。このような背景から、「旦」は新しい一日の始まりや、新たな周期の象徴として用いられるようになりました。「旦」の字は詩や文学においても頻繁に使われ、美しい朝の光景や新しい始まりを描写するために用いられます。李白(りはく)の詩「旦日白旗潭 、天光促曙鴎」の中で「旦日」は「朝」の意味で使われています。天光(空の光)が曙(夜明け)を促す様子が描写されています。日本の和歌でも、柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)の「旦日光移、香煙事須臾、」心縁空事」で「旦日光」(あしたひかり)という言葉が使われており、朝の光が風景を照らす様子を表現しています。現代詩でも萩原朔太郎(はぎわらさくたろう)の詩「旦の光に新たな世界が目覚める時」があり、この詩では、「旦の光」(あさのひかり)が使われており、新しい日の始まりを象徴しています。元旦は元日と同義で、正月一日を意味します。日本の手話では、正月を「一月一日」で表現します。そして「あけまして、おめでとうございます」という挨拶は「一月一日、おめでとう」と表現します。挨拶というのは直訳にはなりません。「おはよう」はGood morning.で、「良い朝」ではありません。「あけまして、おめでとうございます」はHappy New Year.ですから、Happy Birthday. Happy Halloween.と同じタイプの表現です。要するに形式的なものなので、最近の「あけおめ」でも意味は通じます。元旦の挨拶としては、「明けまして、おめでとうございます。旧年中はお世話になりました。本年もよろしくお願いします。」という長いのが昔の習慣でしたが、少し前から、後ろの2文は省略されるようになりました。「あけおめ」に抵抗感をもつ人も、一文だけになったことには抵抗感がなくなっているのは、それだけ時代の変化に対し、自分の感覚が中心になっていることには、なかなか気づかないものです。そして「元旦」と「一旦」が同じ漢字なので、小学生に理由を訊かれた時、答えられない人が多いのではないでしょうか。「一年の計は元旦にあり」と申します。今年は勉強の歳にしたいと、浅学のコラムニストは考えております。「謹賀新年」「賀正」

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