始まる、始める
「始まる」は自動詞で、物事が自然に開始されることを意味します。外的な力によって引き起こされるのではなく、自然に、または自動的に発生するニュアンスがあります。例えば、「映画が始まる」です。「始める」は他動詞で、何かを意図的に開始することを意味します。つまり、行為者が何かを始める場合に使います。例えば、「仕事を始める」です。「始まる」と「始める」はどちらも古代日本語から派生しており、根本的な意味は「開始する」という共通の意味を持っています。古代日本語では、動詞の自他の区別があまり明確ではなかったことがありました。しかし、中世から近世にかけて、次第に自動詞と他動詞の区別が明確になり、現代日本語に至るまで整理されてきました。例えば、平安時代の文学作品では「始む」という形が使われ、その後、「始まる」と「始める」のように自他の区別が発展してきました。現代の日本語でも、「始まる」と「始める」の使い分けは非常に重要で、文脈によって使い方が異なることがあります。この自他の区別は、日本語の動詞の特徴の一つとして、言語学的にも興味深い点です。「始まる」を英語に翻訳すると begin や start" になります。例えば、The movie begins at 7 PM.(映画は午後7時に始まる)The festival starts tomorrow.(祭りは明日始まる)。ついでに、これらは「自動詞」であることを覚えておくとよいでしょう。自動詞には目的語がありません。Biginや startは他動詞にもなります。She begins her work at 9 AM.(彼女は午前9時に仕事を始める)。「仕事を」が目的語です。He started his own business last year.(彼は昨年、自分のビジネスを始めた)では「ビジネスを」が目的語です。「を」を付けた形で覚えておくのがよいでしょう。「始まる」は他にも、originate(生じる)The fire originated here(火事はここから始まった)やopen(開く)The opens at ten.(お店が始まるのは10時です)のような用法があります。「始める」の方は found(設立する)We are founded in 1900.(当社は1900年創立です)のような用法があります。過去分詞形になっているということは受動態ということです。他にも initiateが専門用語で、よく使われます。「初期化する」と訳されることが多いようです。さらに難しい用法ですが、 launch(立ち上げる)という場合もあります。He launched a new business.(彼は新事業を立ち上げた)のような例です。パソコンなどの世界で、Launch the application(アプリケーションを起動してください)という他動詞用法もありますし、The program will launch automatically、(プログラムが自動的に起動します)のような自動詞用法もあります。この語は日本では「ランチャー」のように訛った形で広がってしまいました。ロケットの打ち上げ機も「ロケット・ランチャー」と言っていますが、英語風に発音するなら「ロケット・ローンチャ」です。IT業界では「ラウンチ」という表記もあるそうです。これは翻訳ソフトのエラーが原因かもしれません。これだけ日本語に英語が入ってきても、未だに、それも最先端の分野で日本英語が広がる、というのもおもしろい現象です。
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