話す、を考える


話す

「話す」はよく使う言葉ですが、意味が広く、いろいろな語に分化しています。英語に訳す場合、大体の意味は通じますが、細かいニュアンスが異なるので、それぞれ例文と一緒に勉強したい語です。一番多いspeakはDo you speak English?が例です。日本人はCan you speak English?と言いがちですが、doを用いてください。英語を話すことは確かに能力ですが、ほんの少しでもわかれば、という軽いニュアンスで聞くのが実用的です。「話す」と似ているのが「言う」です。英語ではsayやtellが相当します。文法的にややこしいのは、sayはto がつきますが、tellにtoは不要です。He said to me ….でTell me why.のようになります。またspeakは音声で話す場合に限定されますが、sayやtellは文字による記述も含まれます。ここで、あることに気が付きます。上述のDo you speak English?は「英語が話せますか?」と聞かれているので、会話能力を訊いているわけです。日本人の多くは文字に書かれた英語がかなりよく理解できるのに、「英会話」が苦手です。もし、相手に英語がわかるかどうか、を尋ねたい場合はDo you understand English?と聞けばよいのです。理解するunderstandは理解力を意味しますから、音声とか文字にかかわらない能力そのもののことです。逆に日本語のことを考えてみましょう。最近、日本に来る観光客などが日本語が上手という印象があります。これは、「小さい頃からアニメを見ていたから」と思う人が多いのですが、現地では日本語の音声でそのまま流れているはずがなく、現地語の吹替か字幕です。字幕の場合は、音声も流れるので、日本語の音声が学習できます。日本の映画も字幕しかなかった時代があり、それで英語の音声を勉強した人も多かったのですが、同じことが海外でもいえます。翻訳の場合、昔は英語音声から翻訳して字幕にしていました。しかしそれでは翻訳できる人が少なく、聞き違いの誤訳もあります。そこで映画台本をもらって、文字から翻訳すれば、かなり正確な訳ができます。日本のアニメは漫画原作であれば、当然、文字の科白が書いてありますし、声優による吹替であれば、台本があります。現地でアニメを翻訳する場合はかなり正確な翻訳が可能ですし、シーンに合わせて時間調整された翻訳ですから、日本語の音声にぴったりあった翻訳が流れるので、シーンごとの科白は音声でも覚えやすいのです。日本で英会話を学ぶ方法としても、同じ方法ですれば、興味のあるものであれば、何度でも見られますし、理屈抜きで習得できます。この方法の利点は「聞く力」がつきます。日本人の場合、文字は理解できる範囲が広いので、「英語がわかる」レベルに到達することは意外に簡単です。そして「話す力」は「聞く力」があれば、その応用なので、思っているより簡単です。一般的に「話せる力」は「聞ける力」より小さいものです。英語でも「読む力」より「書く力」が小さいことは実感があると思います。「英作文」が苦手だった思い出がありませんか?そうです、日本人が苦手なのは、「会話」ではなく、「話す」「書く」という産出能力が弱点、ということを、まず理解しましょう。

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