Black
9月6日はクロの日です。最近は黒い色の服もけっこう日常的に着られるようになっていますが、元々は式服など特別な場合の色でした。色としての意味もネガティブな意味が多く、黒歴史、黒幕、黒星など比喩としてはいい意味には使われません。最近話題のブラック企業のようにカタカナにしても意味はよくないです。中立的な意味があるのは黒色火薬や黒子のように黒い色が直接イメージできる場合と、黒田、黒川、大黒のような人名の場合です。
英語のblackも似たような感じで中立的な意味の場合はblackboardやblack lightのような場合だけで、blackmail(脅迫状、転じて脅迫すること)やblack mass(黒ミサ),black magicなど悪い意味ばかりです。ただしblackmailは手紙の意味はほとんどなくHe blackmailed me.は「彼は私を脅迫した」という意味です。日本人は黒ミサというと怪しげなニュアンスしか感じませんが、元来の意味はカトリックでは葬式に神父が黒衣を着ることを意味していました。それを悪魔崇拝者がそれを茶化して魔女の夜会Witches’ Sabbathをそう呼んだのが始まりのようです。このテーマは絵画や映画にもなっていて、それを見た人が影響を受けたのかもしれません。アニメや漫画にもたびたび登場しています。
そうしたblackが持つ悪いニュアンスの影響を受けたのが黒人で欧米では長く奴隷扱いされ差別の対象でした。米国では公民権法以来、黒人の勢力が増し、現在では黒人運動がBlack is beautiful.とかBlack Prideという標語を生み、Black Lives Matter BLMという形で大統領選挙などにも影響を与えるようになってきました。それでも日常語の中の慣用句までは廃絶するに至らず、今でもblack and blue(あざ)、paint him black(彼の悪口をいう)、He turned black into white.(彼は黒を白といいくるめる)、She always looks on the black side of me.(彼女はいつも私の悪い面ばかり見る)という表現が用いられます。またblack and whiteといえば黒白はっきり、つまり物事の両極端ということであり、最近話題の発表文書の黒塗り、通称のり弁はblack outといいます。転じて報道管制や一部地域除外の意味にも使われます。
黒が悪い意味をもつのは恐らく闇との関係でしょう。光のない闇の状態をdarkといいますが、darkにも同じような否定的な意味があります。He is dark as is called.とHe is black as is painted.はどちらも「彼は世間でいわれている通りの悪人です」の意味です。
不景気になると黒が流行る、という説もありますが、これは無彩色の誤りのようで、バブル景気の時はモノトーンが流行るのだそうで、黒一色が流行るのは好景気の兆しとか、それに期待したいですね。
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