World Consumer Rights Day


コラム挿絵:買い物をする男性のイラスト

3月15日はWorld Consumer Rights Day(世界消費者権利の日)です。米国第35代ジョン・F・ケネディ大統領が「消費者には権利がある」旨を記載した「消費者の利益の保護に関するアメリカ合衆国連邦議会への特別教書」を1962年3月15日に発表したことに由来して、国際消費者機構が国際デーとして記念日に制定しています。ケネディは消費者の4つの権利「安全を求める権利、知らされる権利、選択する権利、意見を反映させる権利」を主張しました。

日本では昭和43年(1968)に消費者基本法が成立し、2009年9月1日に内閣府の中に消費者庁が設置されました。初代が内閣府事務次官なのはしかたがないとしても、2代、3代までが民間人であったのに対し、移行は官僚ばかりになっています。これで本当に消費者庁が消費者のほとんどである庶民の味方がどうか疑問が残ります。消費者庁から「「世界消費者権利デー」を迎えるに当たって (令和5年3月14日)」というメッセージでは、「今年の世界消費者権利デーのテーマは、「クリーンエネルギーへの移行(Clean Energy Transitions)」です。(内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)河野 太郎)という政治的な主張が反映されています。環境省が出すならまだわかるのですが、消費者のどの権利に該当するのでしょうか。(https://www.caa.go.jp/about_us/minister/kono2_message_004/

一般に消費者保護というのは国民生活センターとして知られていると思われます。不当な業者との紛争や詐欺的な商売の相談先になっています。「国民生活センターは、1970(昭和45)年10月1日に特殊法人として発足しましたが、消費者基本法を背景とした特殊法人です。「国民生活センターは、2014年10月1日に、「国民生活センターの使命」を公表し、「国民生活センターは、消費者問題・暮らしの問題に取り組む中核的な実施機関として、消費者・生活者、事業者、行政を『たしかな情報』でつなぎ、公正・健全な社会と安全・安心な生活を実現します。」と宣言しました。」とあります。(https://www.kokusen.go.jp/pdf_dl/commemorative/50th_main.pdf

消費者というのは広い概念なので、現実には、消費者問題は幅広い官庁に関わっています。それを1つにまとめる強い権限がある、という趣旨で設立されたのですが、実際には今も関係省庁が多くの権限を握っており、消費者庁長官は重要閣僚でなく、幹部職員も他省庁からの天下りであることが指摘されていて、国民から見ると何をやっているのかわからない役所、ということになっています。1つの例として、現在、問題になっている消費税について、消費者の関心は高いにも関わらず、実権は財務省にあり、消費者庁が何か意見をした、という話は聞きません。生活において、もっとも基本的な消費である、水道、エネルギー、交通などについて、消費者庁が消費者保護に動いたという実感はありません。消費税が課せられる以上、明らかに消費であることは明白なのですが、何の意見表明もないのは、「強い権限」はどこへ行ったのか疑問ばかりです。マスコミも消費者の日を広告しませんが、この日を機会に消費者保護問題を考えたいものです。

2025年3月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

コメントを残す