年度末

3月31日は年度末です。今年は月曜日なので、余計にややこしいです。実際はその前の週の金曜日までに済ますことが多いと思われます。ただ、日付で管理している場合は、郵送だと水曜日とか木曜日あるいは金曜日に届くことになるので、来週まで持ち越しになり、処理が年度始めと重なり、混乱がありそうです。逆にいえば、金曜日までという締め切りが3日早くなることが多いので、その分、大変でもあります。しかも、この時期に新入社員の研修をするところもあり、異動もある場合もあって、引継ぎやら、申し渡しやら、もう、てんやわんやの状態のところも多いことでしょう。それに加えて、最近は少なくなったとはいえ、会社の花見とかがあり、歓送迎会の幹事とか、業務外の仕事もあることがあります。さらにいえば、転勤や就職で引っ越しすることもあり、家族の入学手続き、転入手続きなどがあるかもしれません。このどさくさに紛れて、値上げする店もあるかもしれませんから、その準備や対応に追われる人もいることでしょう。その慌ただしさは年末以上かもしれません。
昔は年の瀬の方が慌ただしくて、掛け取り(借金取り)が来たり、経済的な締め切りは年末でしたから、それが現代で年度末に移ったともいえます。しかしそんな慌ただしい時期でも、隠居した人々はそれを眺めるだけののんびりした生活になります。昔の年末も同じで、たとえば「......そばの一つも食べたものである。いまは柚子一個が百円も百五十円もする。ふんだんに湯の中へ投げこむわけにもゆくまい。柚子湯なぞ、むしろ、しないほうがよいほどだ。 冬至がすぎると、夜毎に冴えわたってきて、町には暦売りが出て来るし、町の物音がちがってくる。 いまの東京の町の音は、車輛と工事の騒音のみになってしまい、これは春も夏も、師走だとて変ることがない。人の暮しにも季節がなくなってしまった。 町をながすさまざまな物売りの声や、道行く人びとの声までも、大晦日へ向ってあわただしく、「押しつまってくる……」 のであった。(池波 正太郎「食卓の情景 (新潮文庫)」に収録 amazon関連カテ年末・年の瀬)といった風情で、のんびり味わっていたのが文学者ということになります。
いつの世も現役と引退組とでは精神的な距離があります。どちらがよいか、ということではなく、人生において、そういう時期が誰にもある、ということです。年末の準備の慌ただしさもだんだん慣れてきて、早めに手回しできるようになる人がいるように、年度末の対策や準備も早くできるようになる人もいます。それは経験もあるでしょうが、性格によることが大きいかもしれません。時間と共に決まってやってくることに対し、早めに準備できる人とギリギリにならないとできない人に分かれます。それは「夏休みの宿題」と同質で、子供の頃から出来上がっている資質です。世間では「ギリギリにならないとできない人が多い」といいますが、そういう人の声が大きいだけで、実際には早く済ませる「まじめな人」も多いのです。
ミスがどちらに多いかというのは結果を待ちません。このコラムを読める余裕のある方はこういうタイプの方でしょう。
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