フォークソングの日

4月9日は語呂合わせで「フォークソングの日」だそうです。フォークソングの語源は英語のfolk songですから、直訳すれば民謡です。しかし日本では民謡というのは伝統的な歌謡という理解になっていて、和楽器による伴奏に甲高い声でコブシを回して、というようなイメージがあると思います。そしてフォークソングといえば、ギターで歌うことが中心です。このスタイルはアメリカのfolk song が日本に入ってきたものです。当初は、ブラザース・フォーやピーター・ポールアンドメアリーのようなフォークバンドの歌が流行って、それを真似ていたのですが、次第に自分たちのオリジナル曲を作るようになっていきました。いわばJapanese folk songsだったのですが、そうとは言わずフォークソングあるいは省略してフォークというようになりました。言語的にみれば、外来語が別の意味に変化した例です。日本では、外国のものを日本で進化させ、元のものとはまったく別のものに進化させる一方で名前はそのまま、というものが実に多く存在します。マンションやアパートから、ケーキ、プリン、ビスケット、ラーメンなど日常にあふれています。中には、オムライスやトンカツなど、外来語と日本語を合成した例もあり、これらは外国には存在しないので、日本語と呼ぶのが正しいです。洋食という不思議な概念もあり、日本独自の食べ物であるにも関わらず、和食という日本の伝統食とは異なる、というイメージになっています。当然ですが、外国から日本にやってきた人々は洋食と和食の区別はせず、全部日本食と考えます。フォークソングも洋楽という分類になると思いますが、外国から見れば日本音楽です。英語のfolk songは「民衆の音楽」なので、意味は広く、とくにアメリカの場合、民族とは結びついておらず、ヨーロッパから移民してきた人々が、それぞれの自国から持ち込んできた音楽が混ざり合って、出来上がったものです。主力が英国系であったため、イングランド系やアイルランド系が多く入っています。それらがまずカントリーミュージックというジャンルを形成します。カントリーはcountryですから、国であり、田舎、故郷という意味です。カントリーミュージックは西部へと発展していく中で進化したので、ウエスタンと呼ばれることもあり、今日ではカントリーアンド熟れスタンCountry and Wester C&Wと呼ばれて、独自の進化を遂げ、現在でもポップミュージックと混成されて、アメリカ音楽の中心になっています。多くの人気歌手がC&W出身という現象は、日本の歌謡曲が民謡系とポップス系が混ざっているのと似ているかもしれません。フォークソングはカントリー系から出てきたジャンルですが、とくにベトナム反戦運動の中で進化していき、それが日本に伝播しました。必ずしも反戦的メッセージだけでなく、黒人霊歌や讃美歌から採ったものもあったのですが、日本ではそうした区別はなく、単なる英語の歌としてコピーされ、やがて日本語の詞が充てられて広がっていきました。その結果、同時に並行していた歌謡曲との区別も曖昧になり、とくに和楽のコード進行を使うようになり、その傾向は強まっていきました。
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