International Day of Peace
9月21日は世界平和の日で、1981年に国連が定めた比較的新しい記念日です。この日に関連して2016年SDGsが「「持続可能な開発目標、平和への砦の構築」というスローガンとして提案されたことはあまり広報されていません。つまり世界がpeaceと考えている意味と日本の平和では概念が異なっていることが明確です。
日本のウイキペディアは平和を「国際関係において「平和」は戦争が発生していない状態を意味し、元来、戦争は宣戦布告に始まり平和(講和)条約をもって終了し、これにより平和が到来するとされてきた」と解説し、戦争がない状態が平和と考えるのが一般的な日本人だと思います。しかし英語版のwikipediaではPeace is a concept of societal friendship and harmony in the absence of hostility and violence.( 平和は敵意や暴力のない社会的な友情と調和の概念です。google訳)としています。この意味だと今の日本がpeacefulな状態と言えるでしょうか。
またピースサインという日本指を立てるジェスチャーがありますが、日本では写真を撮る時のポーズでしかなく、ウイキペディアが解説するような「勝利・反戦・平和という意味を持ち」とはなっていないように思えます。これはVサインのことで、形が同じため誤認されていると思われます。裏返しのピースサインは当然反意を示し欧米では「侮蔑や卑猥の意味に変わる」のですが、現代日本の若者が裏返しや下向きのサインを楽しそうにしている画像を見かけます。YouTubeやTiktokのような世界中の人が見る動画配信だと誤解されそうで不安を覚えます。
日本語の平和は現代用語で、古来は「落着き、長閑(のどか)、静穏、平安、太平、無風」などの表現で表されていた、どちらかというと心の状態を示していました。英語のpeaceも語源的にはユダヤの挨拶であるshalomやハワイのalohaなどが意味する平穏なこと、安寧なことを喜ぶことから来ています。韓国語のアンニョンハシムニカも「安寧でいらっしゃいますか?」という意味です。
クリスマスソングのSilent Night(聖しこの夜)でもSleep in heavenly peaceとあるように、元来は宗教的なニュアンスが多かったのです。宗教的なニュアンスで考えるならば、仏教の涅槃(ねはん)がそれに該当するかもしれません。ヒンドゥー教のビシュヌ神は平和を司る神であり、この平和というのも精神的な意味です。どの宗教も心の平安を求めているのは共通です。戦いがないのはその1つにすぎません。
現代語の平和は無戦争状態に限定した狭義となっていて、平和主義と唱える人々も限定的な意味での平和を主張しています。本当の平和とは何か、古来からの意味を改めて考えてみるのも世界平和の日にふさわしいのではないでしょうか。
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