International Day of Sign Language
1951年9月23日に世界ろう連盟が設立されたのを記念して、2017年国連総会でこの日をInternational Day of Sign Languageとする決議が行われました。日本の全日本ろうあ連盟ではこれを「手話言語の国際デー」と訳しています。日本では3月3日を「耳の日」として手話関連の行事が行われるため、世界の手話の日はあまり知られていません。手話と手話言語はどう違うの、という疑問があるのは当然です。いろいろな見解があるのですが、ざっくり言えば同じと考えて差し支えないです。
「手話はろう者の言語である」という定義が一般的ですが、定義する上では「ろう者とは」「言語とは」が問題です。聴覚障碍者には大別して聾者と難聴者があります。漢字の聾者はいろいろな事情から「ろう者」と平仮名と漢字交じりで書くことが主張されていますが、ここでは紙幅の都合もあり漢字にします。このように聾者をめぐる諸問題は複雑な社会背景がありますが、今日は手話の日なので手話に限定した話題にします。また23日は日本では昨日ですが、時差があり欧米では今日行事があります。
言語についての定義は難しく、日本では国や民族と同一視されることが多いです。フランス語、フランス人は別々には考えません。しかし世界のほとんどの国は他民族国家で複数の言語が使われています。その意味では概ね民族と言語は一致します。しかしアメリカのような国では共通語としてアメリカ英語が使われていますが、地域によってスペイン語も公用語とされていたり、もっと多くの民族語が公用語とされている地域もあります。公用語というのも定義がむずかしいのですが、政府の書類や裁判などで使用できる言語という実用的なものです。手話を公用語としている国もあります。
手話の場合、聾者は民族ではなく、かといって聴覚障碍者がすべて手話を使うわけでもありません。そこで欧米では「手話を使う人を聾者とする」という逆定義がなされています。そうすると耳が聞こえている人(聴者)で手話を使う人も聾者なのか、という疑問がでてきます。とくに親に聾者がいて子供の頃から手話でコミュニケーションしていると自然に手話を習得します。こういう子供をコーダCODA(Children OF DEAF ADULT)と呼び「聾者の仲間」と考える人々もいます。
手話は概ね国ごとに違いますが、これは教育との関係が深いのです。ろう教育が普及していない国では民族により、極端な場合は住んでいる村ごとに手話が違うことが知られています。日本国内でもかなり地域方言があり、世代による違いも大きいので、テレビ放送の手話がよく理解できない人もいます。手話通訳者はテレビ放送のような手話だけでなく、地域や個人に合わせた手話通訳が必要で、高度な技術を要求される場合もあります。こうした複雑な事情を理解していただくのが手話の日の意義です。
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