梅雨の終わり

例年だと日本の季節のうえで7月3日は、梅雨の終盤にあたります。今年は西日本が早く梅雨明けしました。地域によってはこの頃に梅雨明けが宣言されることもありますが、多くの地域ではまだ湿気の強い日が続いています。空は曇天に覆われ、突然の雷雨や蒸し暑さに悩まされる時期です。しかし、この「不快」とされがちな時季は、自然界にとってはとても大切な時間でもあります。土にたっぷりと水分を与え、植物が根を張り、稲がすくすくと育つという、な生命の準備が水面下で進んでいる日なのです。
伝統的な暦で見ると、7月3日前後は七十二候の「半夏生(はんげしょう)」が終わるころにあたります。農村では田の神に感謝を捧げる神事が行われたり、収穫の無事を祈る食文化(たとえば関西のタコ、福井の焼き鯖など)が残っていたりします。農の一年においても、小さな区切りのような位置づけを持っているのです。
自然の話題から少し視点を変えると、7月3日は歴史上の重要な出来事にも縁があります。たとえば、1988年のこの日、イラン航空655便がペルシャ湾上空でアメリカ海軍により誤って撃墜され、乗客290人全員が犠牲となるという悲劇が起こりました。この事件は冷戦終結前夜の緊張を象徴する出来事となり、現在も国際社会において「戦争と誤認」の恐ろしさを語る事例の一つです。7月3日は、そうした現代史の傷痕を思い起こす日でもあるのです。今年もアメリカがイランの核施設を攻撃しましたが、何かの因縁があるのかもしれません。
日本における7月3日は「ソフトクリームの日」という記念日です。これは1951年の7月3日、明治神宮外苑で開かれた米軍主催のアメリカ独立記念行事で、日本で初めて「ソフトクリーム」が一般に紹介されたことにちなんでいます。戦後復興のただなかで、西洋の文化や食が日本に流れ込んでいった象徴的なエピソードであり、いまや当たり前になった「冷たい甘味」が、実はそんな小さな一歩から広がっていったのです。ソフトクリームは日本語であり、英語ではsoft serve ice creamあるいは省略してsoft serve といいます。現場で通じないことはないですが、一瞬キョトンをされるかもしれません。
現代に生きる私たちは、便利なカレンダーとスケジュールに囲まれ、1日1日を機械的に過ごしがちです。しかし、昔の人々のように、空模様や虫の声、食べ物の移り変わりといった五感を使って季節を感じ取っていたならば、きっと今日も何かしらの意味を見出していたことでしょう。熱中症と暑さに気をつけて、今日は外に出てみて、どんな風が吹いているか、雲はどこへ流れているか、道ばたの草花は何を告げているかを感じてみるのはいかがでしょうか。あるいは、冷たいソフトクリームやかき氷を味わいながら、これから始まる、あるいはすでに始まっている夏の計画に思いを巡らせてみるのもいいかもしれません。
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