役所改革の日
10月6日は役所改革の日だそうです。1969年の10月6日に千葉県松戸市が「すぐやる課」を設置したのがこの日なので、それを記念して設置されたそうです。当時の松戸市は急激な人口増加で道路や排水路などに関する苦情や要望も急増し、当時の松本市長が、市民生活にかかわる問題は早急に解決しなければならない、ということで、市役所内のすべての課を横断した「すぐやる課」を創設しました。今でも行政の多くが縦割りのままで、苦情や要請はたらい回しになって時間がかかります。それを短期間で対応しようという試みは画期的で、多くの賛辞が寄せられマスコミ報道などの反響も大きかったため、1970年代には300自治体にも普及したそうです。しかし、役所側の組織改編や市町村合併などもあって、現在は十数市町村だけのようです。今でもスズメバチの巣の除去とか、イノシシ、サル、シカ、クマなどの動物が街中に出現すると市町村や警察、消防などが出て対応に追われています。近年は空き家問題も増えましたが、こちらは権利関係が複雑で手つかずのまま放置されていることも多く、これは自治体というより、国の政策の問題が大きいと思われます。
国の役所である省庁の改革は、一時、行政改革と称して改編が行われましたが、見るべき改革はほとんどなく、最近ではハンコ行政の脱却を目指して押印廃止マニュアルを出して、印鑑証明などを必要とする契約書などを除き、確定申告や住民票の転入転出、車庫証明、車検、婚姻届、離婚届、出生届、死亡届などは印章不要になったようです。あらゆる書類にハンコを押す文化は日本独特のようで、諸外国ではサインが普通です。偽造という面では三文判が普及している日本では署名より印章の方が偽造や他人によるなりすましが簡単です。
松本元松戸市長が標語にしていたのは「市役所とは市民に役立つ人がいる所」ということでした。役人は役についている人ではなく、役に立つ人なわけです。この考えかたは地方行政だけでなく、当然国政にも通用することです。諸外国の多くは地方の役所は地方政府local governmentと呼ばれます。市役所はcity hallです。市役所には広間hallがあって、そこで集会やコンサート、結婚式などが行われる市民の場所です。日本の役所は役人の詰め所で市民が親しくする場所ではなく、カウンター越しにいろいろお願いする書類を出す所で、江戸時代の代官所と変わらぬ権威を重んじる所になっています。事務の簡素化の前にこの権威性をなくすことが民主的行政だと思います。
役所が権威を持ち態度が横柄なのは後進国です。首長は選挙で選ばれますが、役人は選挙ではなく首長が変わっても役人は変わりません。こうした人事の硬直化がネックになっているので、官民の人事交流を進めることが一番の行革ではないでしょうか。
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