手話の雑学124 インド宗教史1

では超簡単にインドの宗教の歴史を見てみます。インド宗教史は枝葉が多すぎるので、「川の流れ」として眺めるのがコツです。最初は、とにかく古代の祭祀文化です。インダス文明の時代、人々は自然や生命力を畏れ、祈っていました。文字より前、理屈より前の信仰です。そこに来るのがヴェーダ宗教です。祭式・呪文・火の儀礼が中心で、のちのヒンドゥー教の祖先にあたります。ここでは世界は「正しく儀礼すれば回る」ものという思想です。
次に、大きな曲がり角がきて、「それ、本当に救われてる?」と問い直した人たちが現れます。
代表がゴータマ・ブッダです。これが日本に伝来した仏教です。実はこの流れで仏教とジャイナ教が生まれました。ここでは修行・解脱・個人の悟りが前面に出ます。
その後、全部を吸収して再編したのがヒンドゥー教ということになります。神々も、哲学も、修行も、民間信仰も、ぜんぶ飲み込む巨大な器です。インド宗教の「基本形」はここで固まります。
中世になると、外からイスラム教が流入してきました。一神信仰と法の宗教が入り、ヒンドゥー教と緊張と混交を起こします。
近代以降は、ヒンドゥー教、仏教(の復興)、イスラム教、シク教などの新宗教が並存し、さらに世俗主義と人権思想が加わります。
要約すると自然信仰 → 儀礼宗教 → 解脱宗教 → 包摂宗教 → 混交社会宗教という流れです。
インド宗教史は「古いものが消えない」のが最大の特徴です。新しい流れは、前の層を壊さず、上に積み重なっていく。そのため、現代インドでは紀元前と21世紀が、わりと普通に同居しています。宗教というより、地層に近い構造です。
インドでは、宗教は民族を「作った」わけでも、「置き換えた」わけでもありません。むしろ、重なり合い、染み込み、言い換え合ってきたという、その関係を最短距離で整理します。インド最古層には、狩猟採集や農耕に根ざした先住諸民族がいました。彼らの自然崇拝・精霊信仰は、後に来る宗教に吸収されて消えたのではなく、姿を変えて残存します。村の神、土地の女神、精霊祭祀。これは今も生きています。次が北からの流入で、インド=ヨーロッパ語族を話す人々(いわゆるアーリア系)が北西から入り、ヴェーダ宗教を持ち込みます。祭式・聖句・階層秩序が整い、これがのちのヒンドゥー教の骨格になります。重要なのは、北インド中心という地理性。言語(サンスクリット)と宗教が結びつき、権威を持ちました。南インドにはドラヴィダ系の人々が長く居住し、独自の言語と文化を保持しました。彼らの神々や儀礼は、ヒンドゥー教に組み込まれつつも、性格はかなり違います。結果として、ヒンドゥー教は、北は哲学・経典・儀礼寄りで、南は身体性・信仰実践・女神信仰が強い、という内部多様性を持つようになります。インドは広い国土で気候も違うので、地域性が大きく関わってきます。
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