Williamsburg ― 18世紀のアメリカが息づく歴史の都

バージニア州ウィリアムズバーグ(Williamsburg)は、「アメリカ最大の生きた歴史博物館」と称される町です。18世紀の街並みが忠実に再現され、馬車が石畳の道を行き交い、人々は植民地時代の衣装をまとって生活を再現しています。ここを歩くと、まるで250年前のアメリカへタイムスリップしたかのような感覚を味わうことができます。
ウィリアムズバーグは1699年、ジェームズタウンからバージニア植民地の首都が移されたことで歴史の表舞台に登場しました。ジェームズタウンは湿地帯に位置し、病気の流行や火災などに悩まされていたため、より安全で内陸に近いこの地へ政府機関が移転したのです。町の名は、当時のイングランド国王ウィリアム3世にちなんで名付けられました。
18世紀のウィリアムズバーグは、政治、経済、文化の中心地として急速に発展しました。総督官邸や議会議事堂、裁判所、教会、商店、印刷所、鍛冶屋などが整備され、植民地社会の中心都市として繁栄します。1765年の印紙法や1773年の茶法など、イギリス本国による課税強化への反発も、この町の議会でたびたび議論されました。アメリカ独立革命へ向かう機運は、まさにこの町で高まっていったのです。
ウィリアムズバーグでは、後にアメリカ合衆国第三代大統領となるトーマス・ジェファソンや、初代大統領ジョージ・ワシントン、愛国的演説「自由を与えよ、さもなくば死を」を残したパトリック・ヘンリーなど、多くの歴史的人物が活躍しました。議会では植民地の将来を巡る熱い討論が繰り広げられ、アメリカ民主主義の基礎が築かれていきます。
1779年に州都がリッチモンドへ移されると、ウィリアムズバーグは静かな地方都市となりました。しかし20世紀初頭、大きな転機が訪れます。実業家ジョン・D・ロックフェラー・ジュニアが大規模な歴史保存事業を支援し、18世紀の町並みを忠実に復元する計画が始まりました。その結果、世界でも類を見ない歴史保存都市「コロニアル・ウィリアムズバーグ(Colonial Williamsburg)」が誕生したのです。
最大の見どころは、このコロニアル・ウィリアムズバーグです。約300エーカー(約120ヘクタール)にも及ぶ広大な敷地には、18世紀当時の建物が数百棟保存・復元され、その多くが一般公開されています。議事堂や総督官邸、裁判所、薬局、印刷所、鍛冶屋などでは、当時の衣装を着たスタッフが職人や役人になりきり、実際の仕事を再現しています。観光客は自由に質問することができ、歴史を「見る」だけでなく「体験する」ことができます。
町では毎日、マスケット銃の発射実演や軍隊の行進、法廷劇、音楽会などが開催されます。馬車に乗って町を巡るツアーも人気で、夜にはランタンを片手に歴史を学ぶガイドツアーも行われています。歴史好きはもちろん、小さな子どもでも楽しめる工夫が随所に施されており、年間を通じて多くの観光客で賑わいます。
ウィリアムズバーグは、アメリカ人だけでなく世界各国の要人も訪れる歴史都市です。日本との縁も深く、1985年には皇太子明仁親王殿下(現在の上皇陛下)と皇太子妃美智子殿下(現在の上皇后陛下)が公式訪問されました。お二人はコロニアル・ウィリアムズバーグを視察し、植民地時代の建物や歴史展示をご覧になり、日米友好を象徴する訪問として大きく報じられました。その後も、日本からの教育旅行や歴史研究者の訪問が続いており、アメリカ建国の歴史を学ぶ重要な場所として広く知られています。
ウィリアムズバーグには、歴史地区のほかにもホテルやレストラン、ショッピング施設が充実しており、近くには大型テーマパーク「ブッシュ・ガーデンズ・ウィリアムズバーグ」やウォーターパークもあります。そのため、歴史探訪とリゾート滞在を組み合わせた旅行先として、アメリカ国内外から多くの人々が訪れています。
ウィリアムズバーグは、ジェームズタウン、ヨークタウンとともに「ヒストリック・トライアングル(歴史三角地帯)」を形成しています。ジェームズタウンで植民地の始まりを学び、ウィリアムズバーグで植民地社会の発展と独立への機運を体感し、ヨークタウンで独立戦争の勝利を知ることで、アメリカ建国の歴史を一つの流れとして理解することができます。この三都市は互いに近い距離にあり、一日から二日で巡る旅行コースとしても人気があります。
古い建物を単に保存するだけではなく、当時の人々の暮らしや思想、社会の仕組みまで再現しているウィリアムズバーグは、「歴史を体験する町」と呼ぶにふさわしい場所です。アメリカ独立の理念が育まれた舞台を歩けば、教科書だけでは感じられない歴史の息遣いに触れることができるでしょう。
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