World Television Day
11月21日は国連が定めた世界テレビの日だそうです。1996年12月の国連総会で制定されました。1996年のこの日に国連主催の「第1回世界テレビ・フォーラム」が開催され、テレビが人や世論の意志決定の過程において大きな影響を及ぼすようになったことから実施されたのだそうです。国連加盟国に対して、平和・安全・経済・社会開発・文化交流の拡充などの問題に焦点を当てたテレビ番組の世界的な交流を促すことにより、この日を記念するように呼びかけたのだそうですが、その27年前1969年インターネットが誕生しています。テレビの発明は1925年イギリス人のベアードということになっていますから、70年かかって普及したわけです。
テレビジョンの語源はtele遠く、vision見ること、ですから、遠くのものを見たいという人間の欲望が物理的制限があった望遠鏡の時代から比べると、空間を越えて見ることができるようになった画期的な発明だったといえます。
インターネットの普及は「インターネットの発展・普及を、1994年頃までの「インターネット黎明期」、1995から2000年頃までの「インターネット普及開始期」、2001から2010年頃までの「定額常時接続の普及期」、2011年以降の「スマートフォンへの移行期」の大きく4つの時代区分に分けて」(総務省HP)となっていて、スマートフォンの普及がキーになっているわけです。発明から42年と速度は上がっています。
テレビの場合は、長く共有の時代があり、街角テレビから各家庭へと変化し、今でも個人テレビ視聴はそれほど多くないと思われます。インターネットは視聴者が最初から個人を想定しており、PCつまりpersonal computer個人計算機から普及が始まってスマートフォンという完全に個人用ツールによって普及したわけですから、同じ情報共有でも受け手が複数と単数という違いの差があります。また機器の価格も相当差があり、それが普及速度と関係していると思われます。国連のテレビ・フォーラムが話題としていた「世論の意思決定の仮定において大きな影響」は意思決定があくまでも個人のものである、という前提に立てば、普及「黎明期」であったインターネットの存在を理解していなかったか、発展速度を甘くみていたということです。
日本の放送法は1950年(昭和25年)より施行されたのですが、これは日本放送協会(NHK)設立のためであり、「放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることにある」(同法第1条)とあって、国連の議題とは趣旨がまったく異なります。現在、テレビ放送のインターネット化が進んでいる状況ですが、国連の宣言以前に作られた放送法と国連宣言の趣旨の検討なく混淆化していくと法的な矛盾が生じるのは必至です。公共の福祉と世論意思決定の関係をどうするのでしょうか。
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