日本史と世界史で読み解く 北米建国物語 第12回(5) 明治日本と西部開拓時代のアメリカ

十三夜の月のイラスト

― 鉄道、移民、開拓、そして近代国家の建設 ―

・「近代化」は誰のためだったのか

ここで一度立ち止まってみましょう。近代化によって、鉄道ができました。学校ができました。工場ができました。郵便ができました。電信ができました。医学も発達しました。人々の生活は便利になりました。

しかし、その一方で、先住民族の土地が失われました。労働者は厳しい環境で働きました。移民への差別がありました。日本でも農民や労働者の負担が増えました。アイヌの人々は同化政策の影響を受けました。つまり、近代化には光と影があったのです。

・鉄道は「自由」を運んだのか、それとも「国家」を運んだのか

鉄道は、人々の移動を自由にしました。しかし同時に、国家の力を遠くまで届ける道具でもありました。軍隊を輸送する。警察を派遣する。行政命令を伝える。税を徴収する。商品を流通させる。鉄道は国家を強くしました。

アメリカでも、日本でも、鉄道建設は国家統合と深く結びついていたのです。この点は、近代国家の特徴を理解する上で非常に重要です。

・1870年代から1890年代へ

19世紀後半、日本とアメリカは急速に変化します。

日本は明治維新→廃藩置県→徴兵制→学制→鉄道→殖産興業→憲法帝国議会

アメリカは南北戦争→奴隷制度廃止→西部開拓→大陸横断鉄道→工業化→大量移民→大都市化

→世界的工業大国へ

両国とも、「近代国家」へと急速に変化していきました。

・しかし、二つの国の立場は変わり始めていた

1853年、ペリー来航の時点では、アメリカは日本に対して圧倒的に強い立場にありました。ところが1890年代になると、日本も国際社会で存在感を持つようになります。

1894年、日清戦争が始まります。日本は清国に勝利し、東アジアにおける新しい強国として認識されるようになります。一方、アメリカも西部開拓をほぼ終え、海外へ目を向け始めていました。ハワイ。太平洋。フィリピン。中国市場。アメリカの視線は、ますますアジアへ向かっていきます。

・太平洋を挟んだ二つの新興国

こうして19世紀末、日本とアメリカは、ともに新しい国際的地位を獲得し始めます。アメリカは、大西洋岸→西部→太平洋岸→太平洋へと活動範囲を広げました。

日本は、江戸幕府→明治国家→北海道→東アジア→太平洋へと視野を広げます。

かつて浦賀で出会った二つの国は、今度は太平洋を舞台にして競争と交流を深めていくことになります。

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