いなりの日
毎月17日は「いなりの日」です。語呂合わせです。油揚げに入れた酢飯をなぜイナリズシというのか不思議に思う人もいるでしょう。稲荷とキツネが関係していることは何となく知っています。狐の好物が油揚げ、という伝説も広がっていますが、狐は本当に油揚げが好きなのでしょうか。どうやらイナリズシには論理の飛躍というか、説明不足がありそうです。
まずは狐と油揚げの関係から調べてみました。狐は基本が肉食の雑食動物だそうです。油揚げの原料は大豆なので、好物とはいえなさそうです。野生の狐はネズミ、ウサギ、リス、鳥のような小動物の他、昆虫類も食べ、時には畑にある野菜や人家近くで残飯をあさることもあるそうです。そして昔の農家では田んぼや畑を荒らすネズミを食べてくれる狐は益獣であり、狐に感謝し崇めていたところから、「ねずみの油揚げ」を捧げる風習があった地域もあったそうです。それが仏教の伝来以降、殺生はいけないということで、豆腐の油揚げに代わったという説があります。ネズミを油で揚げるというのは本当でしょうか。そのまま捧げればよかったような気もします。
稲荷は稲を司る神様で「稲生(いねなり)」が変化したという説もあります。その神様の名は倉稲魂神(うかのみたまのかみ)といい、神像では稲の荷を背負っているそうで、そこから稲荷という語が生まれたという説もあります。この神様の使いが狐だそうです。ウカノミタマは古事記では宇迦之御魂神と書かれています。宇迦はウケの古形で穀物とか食物の意味です。伏見稲荷大社の主祭神で全国の稲荷神社の祭神です。稲荷神社にいくと「正一位」と書いてありますが、これは伏見稲荷大社の祭神に朝廷から授与された神階のことです。天長四年(827)淳和天皇は突然病気で臥せられ、病の原因を占うと東寺の五重塔建立の用材として伏見稲荷山の神木を伐った祟りだとわかりました。そこで天皇はすぐに稲荷山に使者を遣わして、それまで位階のなかった稲荷神に従五位下の神階を授けて怒りを鎮められました。神階は稲荷神の神威を誇示するものとなり、その後、次第に昇進し、天慶五年 (942)には朱雀天皇より最高位の正一位の神階を授かったのです。
狐は伝説が多く中国では狐は100歳になると女に化ける妖怪になるそうです。日本でも人を化かす妖怪で、狐火とか狐憑きあるいは狐の嫁入りなど多くの伝説があります。
元々科学ではない世界の話なので真剣に議論しても意味はないのかもしれませんが、謎は説いておきたいものです。蘊蓄を語りながら稲荷寿司を食べてはいかがでしょう。
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