1周年!



当コラムを書き始めたのが昨年の12月21日でした。話題は「冬至」でした。当時の冬至はその日でしたが、今年は翌日の22日になります。思えばこれが366本目、一年は長いようで短いのを実感します。「正月は冥土の旅の一里塚、めでたくもあり、めでたくもなし」(一休宗純)。歳を重ねるとこの歌の意味が実感できます。この歌は一休禅師が正月に頭蓋骨を持ち街中を歩いたという逸話に出てくるそうです。昔は数え年で歳を数えたので、正月には共に一つ歳をとることから家族や友人とお祝いしました。一休禅師は歳をとるとは死が近づくことでもあると、世の無常をあえて正月に説いたわけで皮肉屋らしい表現です。仏教としては無常を知ることは命のはかなさを知ることであり、それを知ることで日々を大切に生きるようになる、ということです。
「日々を大切に生きる」のは思うほど簡単ではないです。忙しさにかまけて、あっという間に過ぎてしまう日々がいかに多いことか。そうした反省もあって、正に日記のように毎日のコラムを書き続けてきました。日記はその日にあった出来事を記すので近過去のことですが、コラムを書いている時点では近未来のことを書くことになります。この日は何の日だろう、とか、歴史的な日を振り返ることで、近未来を考えようと思い立ったわけです。これは改めて多くを勉強する機会になりました。
明日の予定、明後日の予定を立てることは普通にあります。むしろ予定がなくて「何しようか」と考える人は「寂しい人」「暇人」扱いされます。予定が一杯詰まっていて、なかなか消化できなくて、「ああ忙しい」とバタバタすることに喜びを見出している人の方が多いのが現代です。しかしここで過去を顧みて、日々の大切さを考える人は暇人ではなくイマジンだと思うのです。ジョン・レノンのImagineの歌詞の一番にImagine all the people living for today(みんな今日のために生きている、と想像してみよう)という下りがあります。この歌は彼の理想像を謳ったもので平和主義の象徴とされています。その最初が今日を生きることの大切さなのです。
このコラムを冬至から書き始めたのには意味があります。冬至は多くの国の伝統では一年の始まりだからです。この日を境に太陽の出る時間がだんだん長くなっていきます。闇の世界が短くなっていくのですから、昔の人がその日を祝う祭りをしていたのは洋の東西を問わなかったわけです。現代はグレゴリオ暦というキリスト教暦が世界標準になっていて、日本も明治五年に変更したわけですが、その時点から暦は単なる時間の経過となり、暦による伝統や文化もだんだん失われていってしまいました。日々を大切に生きる、ということは予定消化だけでいいのでしょうか。事前準備という楽しみがあり、当日も楽しい、というのが時空を超えた伝統行事だと思います。

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