アメリカ連合国 CSA



最近は「アメリカの分断」が話題になることが多いのですが、昔、USAではないCSAつまりアメリカ連合国(Confederate States of America)というのがあったことをごぞんじでしょうか。CSAは1861年から1865年まで存在した北米の未承認共和国で 1861年に分離独立を宣言し南北戦争でUSAと争い1865年に降伏して消滅しました。
CSAは南部地域にあるサウスカロライナ州、ミシシッピ州、フロリダ州、アラバマ州、ジョージア州、ルイジアナ州、テキサス州の7つの分離派奴隷州によって形成されました。1960年12月20日、最初に離脱宣言をしたのがサウスカロライナ州です。CSAは共和制国家で、経済は綿花を中心とした農業とアフリカ系アメリカ人(黒人)奴隷の労働力に基づくプランテーション制度に大きく依存していました。分離の背景として1860年11月の大統領選で共和党の候補者エイブラハム・リンカーンは西部地域への奴隷制度の拡大に反対の立場をとっていたため、奴隷制度の存続が危ういことを確信したこれらの州は米国からの離脱を宣言しました。その後のアメリカ南北戦争では4月に4つの奴隷州(バージニア州、アーカンソー州、テネシー州、ノースカロライナ州)もUSAを脱退して連合国に加盟し、これらの州は連邦(Union)になります。USAは当然、この分離を認めず内戦となったのです。日本では南北戦争という通称とリンカーンの奴隷解放、そして有名なゲティスバーグ演説として歴史を習うことが多いので、実態をよく理解していません。そもそも南北戦争を英語ではThe Civil War(市民戦争、内戦)といいます。北軍、南軍という言い方も日本式で、Union Army、Confederate Armyが正式名です。通称をYankee、Dixieあるいはthe blue, the grayと言っています。それぞれに有名な歌があり、Yankee Doodle(「アルプス一万尺」)とかDixielandなどが知られていますが、Yankee Doodleは独立戦争時の歌で、北軍の歌はリパブリック賛歌(The Battle Hymn of the Republic「ゴンべさんの赤ちゃん、某CM)です。勢力図は少しズレがありますが、概ね今の民主党勢力下の州(the blue statesと共和党勢力下の州(the red states)と同じです。よく誤解されるのですが、リンカーンは共和党の大統領です。日本では奴隷解放という人権主義あるいは民主主義の理想の象徴とされていますが、本音は北部工業地帯の労働力不足を黒人労働力で補うべく、奴隷を自由人とすることで自らの意志で北部に移動するという建前を作ったにすぎません。実際、現在でも北部に黒人人口が多いのですが、黒人差別がなくなったわけではないのです。民主党大統領のJFケネディによる公民権政策により正式な人権主義が普及したので、民主党支持者に黒人が多いとされています。現在のアメリカの分断は歴史があり根が深いことを理解してください。

CSA
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