%表示はアナログ
%による表示はデジタルだと思っている人がいます。%は英語のper centで、perは割り合いを示す/の意味です。割り算の記号です。3分の2を2/3と書くのは2を3で割るという意味で、/は分数の記号でもあります。分数がアナログであることは以前に説明しました。セントcentは100という意味でcenturyは100年、1 centは1ドルの100分の1です。パーセントは「百で割ると」という記号で/100を記号化したのが%です。日本語訳は百分率といい、その意味を正確に反映しています。ある数の全体に占める割合を示すのに、すべてを百分率にして示すと比較に都合がよいのです。たとえば内閣の支持率で、毎回2351人中633人、2041人中601人のように示しても支持率が上がったのか下がったのか直観的にわかりません。そこで27%、29%のように表示すると支持率が上がっていることがわかります。しかし実人数は633人から601人に下がっています。これは調査人数が2351人から2041人と少なくなったことが影響していると考えられます。
もし調査人数が毎回同じであれば、単純人数比較でよいのですが、実際には同じ人を毎回揃えて調査することは不可能に近いです。調査対象者が病気や死亡、引越しなどで変化することもあります。調査人数の変動を平均化するための計算方法の1つが百分率表示です。原理的には千分率や万分率もあるのですが、実際に使われることは稀です。たとえば最近話題の新型コロナ(この名称も変えるべきです)による病床占有率も%表示で、それを指標として「まん延防止対策」の発動も決められています。しかし考えてみると、50床しかない地域の30%と20,000床の地域の30%では意味合いが全然違います。
多数決原理でも7人中4人と7,651人中の3,826人では同じ1人違いの過半数でも意味合いが全く違います。半数という概念もアナログの概念です。
このように現実世界ではかなりアナログ概念が浸透しているのですが、デジタル化=数値化という誤った概念誘導が見られ、その1つが%です。%は百分率つまり「母数を100とした割り合い」なので、まず母数が100以下では意味が弱いこと、また母数に大きな差がある場合には比較する指標としては正しくないということです。その差を埋める1つの技法が統計的検定で、いろいろな技法があります。自分で全部計算しようとするとかなり面倒な方程式を解くことになるのですが、今はExcelなどを利用した簡単な方法がありますから、いつか利用してみてください。
自分で統計的検定を利用する機会は少ないかもしれませんが、まずは%という数字のマジックにかからないようにすることが大切です。たとえば利益率、視聴率といった割り合いがよく示されますが、せめて母数をチェックすることをお勧めしたいです。
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