旧暦大晦日
1月31日は旧暦の12月29日で月齢28.4と聞いてピーンと来る方は相当旧暦に詳しい方です。翌日2月1日が旧暦1月1日で月齢29.4つまり新月です。新月については明日のコラムに回すとして、旧暦だと明日が元日、今日が大晦日ということになります。
29日なのに大晦日?と思った方、旧暦の仕組みを知る良い機会です。12月31日が大晦日になったのは明治になって西洋のグレゴリオ暦を採用したからです。大晦日とは一年の最後の日なので、旧暦つまり太陰太陽暦では年により、12月30日になったり、29日になったりします。今年は12月29日です。
1月(ひとつき)が30日だったり31日だったりするのはグレゴリオ暦で1年を365日と設定したことによります。旧暦は月の満ち欠けが基本でそれが月齢です。月齢は太陽との関係で計算するのですが、新月とは完全に月が消える、つまり太陽と月が同じ方向に一致した瞬間ですから、月も太陽も動いていて、一日の何時になるかは毎回ずれます。新月から次の新月までが1月ですから、月齢はどうしても端数になり、小数点で表示することになります。それで満月だとだいたい15前後、新月が30前後ということになります。そして月の始めが新月になります。
現代ではこんなアバウトな暦では困ると思いますが、昔は月の満ち欠けで満潮・干潮のように潮が変わるので、それに合わせて漁業をしたり農業をしていたのです。それなりに合理性があったわけです。「夏も近づく八十八夜」は有名な茶摘み歌ですが、これは旧暦正月元日から数えて88日目ということになります。30で割るとおおよそ3か月後、3月末ということになります。新暦と旧暦ではおおよそ1カ月の差がありますから、新暦4月末、連休の頃が茶摘み時ということになります。こんな計算をしなくても旧暦カレンダーを見れば一目瞭然で、昔は農家には旧暦がありました。
日本ではもう旧暦を使う人はまずいないと思いますが、旧正月はまだ残っている地域があります。中国や韓国など東アジアでは旧正月は結構盛んで、中国式に春節と呼んでいます。ベトナムだとテトです。昔の習慣を残している国はけっこう多いのです。日本は敗戦によりすっかり戦前の文化習慣をなくしてしまったので習慣も変わってしまいました。
私見ですが、1年に2度大晦日や正月があるのも良いのではないでしょうか。子供はもちろん喜びます。お年玉が2度来ます。暮れに年賀状を忘れた人も、寒中見舞いでお返しなどせずに、旧正月年賀状を出せばよいです。新正月に休めなかった人もこの期間に休めばいいですし、観光地も潤います。できれば旧暦風の正月を復帰させたいですね。
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