3月



3月1日は旧暦1月29日、まだ睦月です。しかし3月と聞くと春がやってきたという感じになります。実際、日本各地では春の便りも一部聞こえてきます。

英語で3月をMarchといいますが、語源はローマ神話のMarsマルスです。マーチというと日本では大学名の方を頭に浮かべる人の方が多いかもしれません。あるいは車の名前。英語のmarchには行進の意味もあるので、この月にはいろいろな行進が米国で行われます。今年は選挙があるのでトランプ派の行進も増えるかもしれません。

日本ではほとんど知られていませんがMarch of Dimesという慈善NPOがあり、みんなでホワイトハウスに10セント=dimeを送ろうというキャンペーンをしています。1938年当時の大統領ローズベルト(ルーズベルトと日本では呼んでいました)が提唱し、小児病とくにポリオ対策を目的とした寄付集めです。現在でも続けられており病気にかかった子供とその母親を支援しています。

語源であるMarsはローマ神話の軍神でユピテル(ギリシア神話のゼウス)と妻ジュノー(ヘラ)の間に生まれた息子です。ローマ建国の双子の兄弟ロムルスとレムスの父とされています。このロムルスがローマの語源なのですが、その話は後日にします。ヤヌスが両面神であり出口と入口を守る門の神であることから、行く年来る年に対応して1月に充てられました。ではなぜ3月にマルスが充てられたかというと、ローマ時代は1年が10カ月で、3月になって暖かくなると戦争が増えるため軍神であるマルスが充てられたというわけですカ月ローマ暦が10カ月であったため、12カ月にするために2カ月を挿入し、それがJuly=ユリウスカエサル、August=アウグスチヌスにちなむ7月と8月で、7であったseptが9に8であったoctoが10,9=novが11,10=decが12にとズレで行きました。Ocutoはoctopusタコ(8本足)、deciliterデシリットルが1リットルの10分の1であることから想像できる方も多いと思います。ついでにdecadeが10年という意味だと覚えておくと英文解釈で役立つことがあります。ワインのdecantaはdecaではなくcantareにdeがついたものなので、10とは関連がありません。

英語ではMarsは火星のことです。惑星はローマ神話の神の名前がついていますが、日本では惑星名と曜日が同じ陰陽五行説からとられていますから、西洋とは全く一致しません。そのため英語学習では月名や惑星名を全部覚えなくてはならず、それなりに負担です。ヨーロッパの言語は同じ文化なのでどの国の言語を学ぶにも同じ作業が必要になります。明治政府はそこまでは欧米化しなかったのです。まだ漢語の素養が重大視されていたのです。それで英語の概念を導入するには現代のようなカタカナ語ではなく福沢諭吉による漢語を活用した訳語が重要であった訳です。

英語ではMarsがMarchと変わり惑星名はMarsのままですから一見惑星名と同じには見えません。英語の月名と惑星名が一致するのはなぜかMars=Marchだけです。惑星名は有名な神であるMercury(水星)、Venus(金星)、Jupiter(木星)、Saturn(土星)などが当てられています。ちなみにSaturnはSatan(悪魔)ではないので誤解のないようにしてください。カタカナだと同じになるのでよくある誤解の1つです。日本語では天王星以後に王という字が入りますが、それは昔は土星までしか発見されておらず望遠鏡が発達してから発見された惑星なので新たにつけられたUranus,Neptune,Plutoについては意訳されているからです。月名の語源を調べると面白いです。

マルス

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