春分の日
新暦3月21日は春分の日です。二十四節気の春分は15日間ありますので、春分と春分の日は別のものなのですが、あまり理解されていません。彼岸は7日間あり、その真ん中が春分の日です。それで春分の日をお彼岸の中日ということもあり、春分と彼岸もごちゃごちゃになって理解されています。春分の日は一日の昼の長さ夜の長さが同じといる理解が普通ですが、科学的にいうと長さが同じになるのは一瞬あり、直前は夜が長く、直後は昼が長いです。理由は地球自転し太陽の周りを公転しているからです。正確にいうなら春分の日は「春分がある日」ということになります。
春分の日は英語でどういうかごぞんじでしょうか。それはvernal equinoxです。春はspringなのでspring equinoxともいいます。Equinoxは春分と秋分にしか使わない科学専門語です。そのため知らない英米人も多く、そもそも春分と秋分そのものを知らない人が多いのです。なぜかというと休日でもなく、行事等もなく、春分の時期はイースター(復活祭)と時期が重なることが多いからです。Springとvernalでは語がまったく違いますが、それは語源が異なるためです。Springは日本語でもスプリングといえばバネのことで「飛び跳ねる」という意味なので、植物の芽が飛び出てくることから春をspringというわけです。Vernalの方はラテン語の「若々しい」という語から来ています。その結果、名詞はspring、形容詞がvernalという分別になっています。ちなみに秋も同様ですが、こちらは名詞がautumn、形容詞がautumnalです。夏summerの形容詞はsummery、冬winterの形容詞はwinteryあるいはwintryという語もあるにはあるのですが、滅多に使われることがない一種の古語です。夏至と冬至はそれぞれsummer solstice, winter solsticeといい春分や秋分のような季節の形容詞形は用いません。この2つはお祭りがある地域もあるので一般人も知っている単語です。
ヴァーナルという単語は日本でも結構商品名や会社名などで使われています。それは春というよりも「青春の」とか「若々しい」という意味を採用しているからでしょう。それで化粧品関係が多いのだと思われます。
欧米では春分はまったく無視かというとそうでもなく、真夏と真冬の真ん中で太陽の位置も真ん中に来るので、その日差しを重視する文化もあります。とくにキリスト教国ではイースターという最大のお祭りがあり、その計算の起点が春分になります。イースターの日は毎年変更になりますが、それは太陰太陽暦を用いた特殊な計算法によるからです。春分の日の後の最初の満月の日から数えて最初の日曜日が復活の日です。そのため計算上、イースターは3月22日から4月21日の間にきます。2022年は4月17日の日曜日で、遅めのイースターになります。イースターを中心として、その前あるいは後の1週間が休暇になるのが習慣になっています。これが春休みになるわけです。日本のように4月1日から年度が始まる場合はとても対応できませんが、欧米の年度変わりは9月1日なので、問題はないわけです。大学の学事暦でもしっかり組み込まれていて、非キリスト教徒もそれに従うことになります。
イースターはクリスマスよりも盛大なお祭りで、いろいろな行事があり、食べ物もありますが、それは4月17日のお楽しみということにしておきます。ここでは春分の日がイースターと関わっていることだけをお知らせしておきます。ただし欧米人のほとんどはこの計算法を知らないので毎年カレンダーを見て、ああ今年はここにイースターなんだ、と思うだけです。
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