冬至
冬至は1年で昼間が一番短い日となっています。科学的にはもう少し前で、理由は日没が早いからだそうですが、この日を境に日が長くなります。いわば真冬なわけで、西洋とくに北欧では冬至祭をする国が多いです。これから春に向かうわけですから、めでたい日です。それで大昔は冬至が元日でした。現在の暦では1月1日が元日ですが、なぜなのか疑問をもつ人は少ないと思います。実は、暦と天文学的現象は一致していないことの方が多いのです。夏至に日が一番長く、春分と秋分は昼と夜の長さが同じ、と小学校の頃、太陽と地球の絵が描いてある公転の説明でそう教わりそう思い込んできました。日の長さが変わるのは確かに公転ですが、暦の方は歴史的に決まってきたのであって、人為的なものです。西洋では大昔、1年が355日で10カ月であり、日本では長く太陰暦でしたから、暦と天体現象が常にずれるので、閏(うるう)を作ったりして、いろいろ調整したり、暦を宗教や支配者が勝手に変えたことが何度もあります。日本では明治5年12月2日の翌日が明治6年1月1日として西洋のグレゴリオ暦1873年1月1日に合わせました。(参考:国立天文台のサイトhttps://www.nao.ac.jp/faq/a0307.html)。文明開化の一環で暦も変えたのですね。明治5年が短かったことはミステリー作品のネタになりそうですね。
今年の冬至は12月22日ですが、それが済むとすぐクリスマスです。とても近いと思いませんか?クリスマスはイエス・キリストの誕生日が12月25日で、その前日がクリスマス・イブという前夜祭です。実はイエスの誕生日がいつなのかは聖書に明確な記述がありません。本来はローマの冬至祭であった日に合わせた、という説が有力です。キリスト教会などでは、降誕を祝う飾りつけがあり、有名な東方より三人の博士がやって来て、救世主の降誕を告げる、というシーンが飾りになったり、劇になったりしますが、これを見ると、なんとなく真冬の感じがしないので、私は不思議に思っていました。クリスマスについては、また後日のコラムに書きますが、今日は冬至の話に絞ります。
暦と現実が違っていることはよく感じます。たとえば年賀状に「初春」と書くことがありますが、真冬なのに春は気が早すぎると思いませんか。これも冬至から1年が始まるという現実と暦にズレが出てきて、調整しているうちに暦がしょっちゅう変わるのは不都合が多いので、ある時、ズレたまま暦を固定してしまったことによります。実は夏至や春分、秋分も天文学的事実と暦とはズレています。そして私たちの生活は事実よりも暦に支配されているのです。日本の場合、とくに明治以降の文明開化によって西洋化したことの影響が大きいことを知っておくと、江戸時代以前のことを考える時に役にたちます。
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