復活祭



2022年4月17日はキリスト教国では復活祭の祝日です。46日前から続いた復活祭関連行事の最終日で、死後に復活されたイエスを祝う日です。復活はキリスト教徒にとって処女懐胎と並ぶ奇跡であり、その奇跡を信じることがキリスト教徒としての信条ですから最重要の祝日です。日本人はキリスト教徒でないかぎり、唯物論的科学の信奉者ですから、処女懐胎や復活など信じていないでしょうし不思議に思うでしょう。しかし信仰とはそういうもので、キリスト教徒から見れば、おみくじや除夜の鐘などを変な迷信だと思うでしょう。こうした不思議な習慣はどの国にもあり、それをとやかくいうことは独善的であり、紛争の種になりますから、お互いに認め合うことが大切です。一方で、日本人はクリスマスなど異教徒の祭日ですが、料理などの習慣だけ採り入れていてそれも不思議です。宗教を避けようとする文化かもしれません。

復活祭の風習は国によって異なりますが、有名なのはイースターエッグです。復活祭はイエスの復活という宗教的意義の他に、植物の芽がでて鳥の産卵や動物の出産が行われる春の行事でもあるので、多産(日本なら豊作)の象徴としてウサギと卵が出てきます。アメリカではEaster bunnyとしてウサギのぬいぐるみや着ぐるみが街に溢れ着色した卵やその装飾が飾られます。子供たちの楽しみは、まず卵に小さな穴を空け黄身と白身を出して殻に思い思いの色や模様、絵を描きます。穴を空けるのが難しそうな場合は茹で卵にすることもあります。また卵の形のプラスチックを使うこともあります。そしてその色卵colored eggを大人が家のあちこち、あるいは公園のあちこちに隠して、子供たちはそれを探すゲーム(egg hunting)をして楽しみます。卵の装飾品の中には特別に凝ったものもあり、芸術的な彫刻や金細工がしてあるものもあって数百万円するものもあります。
ゲームが終わったら卵料理です。本来なら復活祭の前は断食したり、肉食をしないという場合もあり、復活祭でその禁忌がなくなり肉料理も解禁です。国により違いはありますが、ラムのロースト、ハム料理などが多いようです。Deviled egg(デビルドエッグ)というのもあり、要するに半分にした茹で卵の中にいろいろ詰めたものです。悪魔という名前とはほど遠いものです。そもそもdevilとは「鬼辛い」と同じでスパイシーとか辛いという意味から来ています。しかし辛いものとはかぎりません。
スイーツもありますが、ウサギ型や卵型のチョコレートなどが定番で、クリスマスのような特別なスイーツはありませんが、鳥の巣のようなものを作ってその中にお菓子を入れるegg nestというのもあります。
大人たちはどうするかというと卵の代わりにビールを探すというのもあってbeer huntingというようです。大人向けのルールがあって、隠してある瓶ビールや缶ビールを見つけたら、その場で飲み干さなければならないことになっています。瓶ビールは日本と違い一人前サイズの小瓶です。なので日本のように他人にビールを注ぐという習慣はないこともこの際、併せて覚えておいてください。隠すのはビールでなくてもよくてお菓子類のこともあります。
復活祭のパーティで卵料理や肉料理をたくさん食べて、ビールやワインを暴飲し、チョコレートを食べまくれば、どうなるかはご想像の通りです。元の身体に「復活」するには時間がかかります。

イースターエッグ

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